坂口有望が一呼吸すると演奏が始まります。
彼女にとってはほぼ新境地であるロック・ナンバーです。
歪みのあるギターを坂口有望が演奏するというのは非常に新しく珍しいこと。
ファズやディストーションのような過激な歪みではありません。
オーバードライブ・ペダルかギター・アンプをフルにしたようなナチュラルな歪みです。
実際のレコーディングでどの楽器が使用されたかは不明ですが、テレキャスターにぴったりのサウンド。
ガールズバンドの真骨頂
人生謳歌
どうかそんな言葉 似合うような
一度きりの長旅を 瞬きを
感じていたいや
会えてよかった
今日はどんな音も噛み締めた
一人きりじゃないことも
本当の言葉に変わった
だから悲しさは 今分かち合って?
あなたがまた笑えるように
出典: musician/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
サビのフレーズにかける想い
心配ないよ 明日はもうそこだ
ちょっぴりわかっている未来を変えてしまおうか
代わりはいないよ あなたで十分だ
大事に思っていた物を失くしても
音楽があなたを救いますように
出典: musician/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
サビになると抑えきれない衝動で身体を揺らすメンバーたち。
弾ける笑顔とカラフルなボトムス。
身体が自然に反応するような音楽じゃないとロックじゃありません。
「musician」は紛れようもないポップ・ロックです。
サビの歌詞の決め台詞に泣きます。
音楽があなたを救いますように
出典: musician/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
坂口有望は14歳からステージを踏み、作詞作曲の経験を持つ早熟の天才です。
そんな彼女を突き動かすものはどこまでも音楽の悦び愉しみなのでしょう。
一番信頼できるものが音楽であること。
音楽はいつでも自分を裏切ることがないということ。
坂口有望は少女の頃からそのことをよく知り尽くしています。
だから若干18歳の言葉でも説得力を伴っているのでしょう。
ショート・ヴァージョンは1番まで
YouTubeに上がっているショート・ヴァージョンはここまででフェード・アウトします。
ここから先を観たい方はYouTubeで期間限定配信のフル・ヴァージョンをご覧ください。
また、坂口有望のこれから先の作品で特典映像として公開されると思われます。
この記事ではフル・ヴァージョンでしか観られない場面もご紹介。
シリアスな状況でも希望を伝える
音楽への厚い信頼
人生ウォーカー
「どうせこんな日々が続くなら」って
一人きりの長い夜
この歌が背中をさするよ
だから私はさ いい曲を書いて
あなたをまた待っている
心配ないよ 明日はもうそこだ
ちょっぴり残っている憂鬱も忘れて帰ろうか
変わりはしないよ 好きな気持ちだけは
大事に思ってると伝わらない日々も
音楽があなたを照らしますように
出典: musician/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
髪を振り乱して演奏するメンバーの姿が凛々しいです。
歌詞は1番よりも2番の方が心の奥深くに届けと響きます。
「一人きり」「長い夜」「心配」「憂鬱」
選んだワードが伝える現実の切実さが浮き彫りになります。
それでも音楽のチカラがあなたを救いますようにと坂口有望は願うのです。
監督が目指す「色」へのこだわり
坂口有望の唇のルージュとボトムスの絶妙な赤い色が同じであること。
上述したアンプ類も音へのこだわりともに視覚への訴えかけが鮮烈。
彼女たちや楽器がまとった色などが映えるように背景を真っ白く明るい壁にしたことなどなど。
内藤幸平監督のヴィジュアルにかけるセンスが存分に発揮されています。
彼の演出のおかげで私たちは弾ける少女たちの笑顔と様々な色彩を愉しむことができるのです。