back number4枚目のアルバム「ラブストーリー」に収録
メジャーアルバムとしては3枚目、ゴールドディスク認定盤
「頬を濡らす雨のように」は、back numberが2014年3月にリリースしたアルバム「ラブストーリー」に収録。
この「ラブストーリー」、back numberとしては4枚目のアルバムですが、彼らがメジャーで出したアルバムとしては3枚目のもの。
「高嶺の花子さん」「繋いだ手から」「fish」などの人気曲が詰まったこのアルバムは、10万枚以上を売り上げて、日本レコード協会からゴールドディスクに認定されています。
「ラブストーリー」はそれほど売れたアルバムということですね。
そんなヒット・アルバムに入った「頬を濡らす雨のように」ですから、back numberファンにはもうお馴染み過ぎる曲です。
さわやかなイントロとは裏腹な歌詞の真意
悩ましい夢の正体は、ずばり失恋の傷
ポップスでもロックでも演歌でもイントロは大切で、いわば曲の顔です。
その点、「頬を濡らす雨のように」はさわやかなイントロでスタートしますから、曲を耳にした時のファースト・インプレッションは最高にいいです。
そのイントロのコードだけ、先に紹介しておきましょう。
A C#m D Dm
A C#m D Dm
出典: 頬を濡らす雨のように/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
このさわやかなイントロの余韻を引きずって続けられる、ワンコーラスのAメロをみていきましょう。
走っても走っても前に 進まない夢にうなされて
目が覚めてもまだ 夢の中に取り残されているのかな
出典: 頬を濡らす雨のように/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
メロディはさわやかなのに、歌詞の方は「進まない夢にうなされて」とか「夢の中に取り残されている」といった具合に、何かに思い悩んでいる様子がうかがえます。
何に悩んでいるのか、はひとまず置いて、次のBメロをみてみましょう。
君の思うように 全部が上手くいきますように
出典: 頬を濡らす雨のように/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
歌の主人公、つまり夢にうなされている人物は「僕」です。
サビで出てきます。
サビでは「僕ら」と複数形ですが、この「僕ら」とは「僕」と「君」ということ。
この「君」とは誰のことなのか?
普通に考えるとガールフレンド、カノジョ、恋人になります。
男性はあまり同性の友達を「君」とは呼ばない。いや、呼ぶことはあっても、「君の思うように」「全部が上手くいきますように」などといって祈ったりはしません。
男の友人、親友に対してなら、「オマエ、上手くやれよ!」とラフにハッパを掛けるもの。
だからここで歌われている「君」は女性、おそらく「僕」が好きだった女の子のことでしょう。
「僕」が好きだった、と過去形にしたのは、ここで歌われている「僕」と「君」の関係はすでに過去のものに思えるから。
そうです、この歌は「僕」が「君」と別れた事を嘆き悲しむ、失恋ソングなのです。
「頬を濡らす雨のように」が失恋ソングだという理由
死ぬほどつらいのに、平気を装う男の見栄
ワンコーラスのサビです。
歩き出した僕らには 立ち止まってる時間も
戻る場所も無いように思えるけど
手は差し伸べられてる 暖かな風のように
頬を濡らす雨のように
出典: 頬を濡らす雨のように/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「頬を濡らす雨のように」を失恋ソングだと断定すると、「それは違う」といった反対意見も出てくることでしょう。
確かに「歩き出した僕らには」という具合に、「僕」と「君」を総称して「僕ら」と呼んでいる。
このカップルがすでに別れているのなら、「僕」、「君」と別個に呼ぶはずです。
しかしここがクセものなのです。
「僕」は「君」、つまりカノジョと別れているのに、まだ恋人同志だと思っているのです。いや、恋人同士とだ思っていたいのでしょう。
男の未練ですね。
でも「戻る場所も 無いように思えるけど」「手は差し伸べられてる」と歌ってるじゃないか、と反論する人もいるかもしれない。
よく読むと分かります。
「戻る場所は 無いように思える」はその言葉通り、別れた二人に戻る場所、つまり一緒に過ごす空間はないということです。
なのに「手は差し伸べられてる」と。
これは振られた方の「僕」が、まだカノジョとの関係は断たれていない、“手は差し伸べられているんだ!”と思っていたい、という事なのです。
すべて、これ、男の側の未練な気持ちなのです。
Bメロで「君の思うように 全部が上手くいきますように」などと歌っているのは、すべて「僕」の見栄なのです。
“僕は大丈夫だから、君の方こそがんばって! すべて上手くいくことを祈ってるよ”と余裕をぶちかまして、わざと紳士的な事を言っているのです。
それは自分が振られて、あたふたと動揺して、心ここになく、別れた「君」のことばかり未練がましく考えている、という情けない姿を知られたくないから。
あー、男ってどうしてこんなに鈍なんでしょう、純なんでしょう!