NMB48「甘噛み姫」
NMB48の14枚目のシングル
今や国民的アイドルグループとなったNMB48。その14枚目のシングルが「甘噛み姫」です。
NMB48も含むAKBグループは爽やかなイメージがありますが、この曲はそんな彼女たちとしては異色の、危うげで刺激的な一曲となっています。
「甘噛み」という大胆な仕草が歌われるこの曲は、ファンにどんな受け止められ方をしたのでしょうか。
「甘噛み姫」のMVは?
MVではオープニングで山本彩の孤独のパフォーマンスと絶叫のあとに、画面が転換し、曲が始まります。
この山本彩は演技力はハンパじゃないですね。
ダンスのカットでは、ブルーのシンプルなワンピースを着たメンバーが山本彩を中心にキレッキレのダンスを踊ります。
色彩的には落ち着いているけれど、なかなか華やかな映像となっていますね。
「甘噛み姫」はどんな歌詞?
『甘噛み』はペットのしぐさだけど
部屋に運び込んだ
デンマークのソファー
片隅 置くには
大きすぎた
店先で見た時
運命 感じたのに
頭で描(えが)いた
イメージと違ったね
出典: http://j-lyric.net/artist/a0555ea/l03a77f.html
甘噛みはいつだって
君らしい愛し方
僕のこの手に噛みつき
じゃれてるつもりなんだろう
いたずらっぽい目で
尻尾をずっと振ってる
だけど今は凶暴すぎて
顔をしかめてしまった
出典: http://j-lyric.net/artist/a0555ea/l03a77f.html
「甘噛み姫」のストーリーは、主人公の独り住まいの部屋に彼氏が入ってくるところから始まります。
はじめは「甘噛み」から始まり、やがて強く噛むようになってくる、という女心の変化を簡潔な歌詞で表現。
背景には「デンマークのソファ」が置いてあり、その邪魔なソファと彼氏の存在がクロスし始めるという凝ったストーリー展開になっています。
「甘噛み姫」という不思議な響きのタイトルは意味深ですが、楽曲全体がストーリーとなっていて、最後まで聞いてみるととても納得のいくタイトルとなっています。
独り立ちした女の子がソファを買い、そして彼氏ができてその彼とうまくいかなくなる様を「甘噛み」という言葉を基軸にストーリー展開させて、立体的な空間を作っているという凝った筋立てのこの曲。
秋元康のセンスが溢れるさすがな曲ですね。
くり返しのサビで終わる歌詞にも表れているように、ストーリーの結末はハッピーでも未来志向でもなく、悲しい別れを予感させる言葉で終っています。
「甘噛み姫」の反響は?
同時期の話題曲「サイレントマジョリティー」との比較
2016年にNMB48の『甘噛み姫』がリリースされたことで、これまでのNMB48とは全く違う楽曲がファンの耳に届けられました。
この楽曲がNMB48ファンにどう届いたか、「CD売り上げが29万枚にとどまった」という事実から、分かる気がしますね。
NMB48のファンからの支持は根強く、これまでのCD売り上げはコンスタントに50万枚を上回っていたのを見ても、この曲のファンからの受け止められ方が分かる気がします。
しかし、売り上げが伸び悩んだもう一つの理由が、欅坂46の『サイレントマジョリティー』のリリースではないでしょうか。
2016年、異色の楽曲『甘噛み姫』のすぐ後に、さらにインパクトの強い『サイレントマジョリティー』が続きます。
そのショッキングな楽曲は瞬く間にアイドル社会を突き抜け、社会現象にまでなりました。
AKBグループどころか、アイドル界全体がカオスに陥るほどの衝撃を与えた楽曲。MV再生回数は7000万回を超えました。
AKB48の『恋するフォーチューンクッキー』が1億回を超えたのを例外とすれば、この再生回数がいかにすごいかが分かりますね。
そしてこの10代が中心の新人グループの楽曲が社会に受け入れられたことが、この再生回数に表れています。
秋元康が打ち破った「タブー」
社会に対する不安や不満をアイドルグループが歌うなど、それまでは暗黙のタブーでした。
それを、アイドル界の頂点に君臨する作詞家・秋元康自身が破ったのが衝撃でした。秋元康は時代の心臓を一撃で打ち抜いた、と言えます。
では『甘噛み姫』のコンセプトは何だったのでしょうか。
『サイレントマジョリティー』の試金石というわけではなく、この二曲ともが秋元康が確信をもってリリースしたことは間違いありません。
いずれにしても、これからリリースされる同じような路線の楽曲が『サイレントマジョリティー』と比較されるのは間違いありません。