18歳の繊細な心模様を描く

18歳というと、ちょうど高校を卒業する年齢です。

これまでは周りの人たちと同じように歩んできた道。

しかし18歳を過ぎたら、自分で進む道を決めなくてはなりません。

進学する人もいれば、就職する人もいる。

自分がやりたいことに打ち込む人だっているでしょう。

更に世間からは大人と見なされ、本人も大人ぶってしまう年頃。

しかし心のどこかでは、まだ子どもでいたいと思ってしまうものです。

そんな多感な時期でもある18歳の主人公は、大人と子どもの狭間で様々な経験をしました。

この楽曲ではそんな僕が直面したとある出来事をきっかけに、自身の18歳を振り返る形で展開されていきます。

きっかけは

関係性の変化

髪を切った君の前じゃ
秋の日差しもただ

頬杖ついたまま
見てるだけ

出典: 18歳よ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

季節は、その中でもかなり冬が近づいてきた頃でしょう。

主人公と君は恋人同士なのか、仲が良さそうな様子を見せています。

秋はどことなく哀愁の漂う季節。

肌寒さを感じさせる気候が、心にも隙間風を吹かせてしまうのかもしれません。

しかしそうして寒さを感じるのは、風のせいだけではありません。

2行目以降に書いてある通り日差しはどこか上の空な様子で、その役目を果たしていないのです。

日差し「も」ということは、主人公も太陽と同じく何かに気を取られているのでしょう。

その対象というのが、1行目に登場している君。

両者は、髪の毛を短くした君の美しさに見惚れているのかもしれませんね。

頬杖をついた太陽はきっと少し頭を傾けているのでしょう。沈み始めた太陽を彷彿とさせます。

場面は秋の夕暮れ。

赤い夕陽に照らされた髪の短い君とそれを見つめる主人公。

美しいはずなのに、どことなく切なさが漂っています。

失恋

髪の伸びた前の方が
女みたいでよかった?
神社の駐車場 迫る冬

出典: 18歳よ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

君はバッサリと髪を切り落としたようですね。

いまではあまり聞かなくなりましたが、女性が髪の毛を切るという行為は失恋を連想させます。

もしかすると主人公は、君と別れたばかりなのかもしれません。

「冬」とは実際の季節というより、主人公の心を支配する悲しみを表しているように感じられます。

主人公の心に訪れる季節の移り変わりが、君との関係性の変化を突きつけてきました。

何があっても変わらないこと

不安定でも
置いてくように老いてく
毎日だね 死にたい

出典: 18歳よ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

様々なことを経験するからこそ、これまでに経験がなかった感情を味わうこともあったのでしょう。

君との別れがまさにその代表的なエピソードでした。

昨日まで大好きだったのに、いまはもう隣にいない。

1行目の単語1つで、主人公の慌ただしい感情変化が感じ取れますね。

しかしそんな落ち着かない心模様に反し、世の中にはずっと安定的に進行していくこともあります。

それが2行目。何があろうと変わらない事実が綴られています。

主人公は自身に巻き起こるめまぐるしい心情変化についていけません。

むしろじっくりその想いに浸って、1つ1つ順に解消していきたいとさえ思っているのかもしれませんね。

しかし時間はそれを許さない。

主人公が前に進めず足踏みしている間にも、どんどん進んでいってしまうのです。

そんな現実を目の当たりにした主人公が思わずこぼした言葉。それが3行目でしょう。

本気で人生の終わりを望んでいるわけではありません。

悩んでいる時間から解放されたい。ただそれだけのことでしょう。

「疲れたなあ」「眠いなあ」と同じくらい軽い気持ちで吐いた言葉だと考えられます。

色彩の対比

なぜ青い?

18歳の
目をしてた日々と

青いコーヒーと
冷え込んだ駅の灯り

出典: 18歳よ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁