胸の痛みを理解してくれる存在
痛みを堪えて絞り出したような叫びに自然と涙が溢れだす、美波の『ETERNAL BLUE』。
綺麗ごとでは片づけられない怒りや悲しみと、私たちはどう向き合っていけばいいのでしょう?
感情を処理できないまま慌ただしく日々は過ぎ去り、心に負った傷が癒える余裕もありません。
生きているだけでこの身に投げかけられる心ない言葉や嘘。
押し寄せてくる他人の悪意に立ち向かう術も持たず、私たちはただただ心に傷を増やすばかりです。
いったい誰に救いを求めればいいのか。
そもそも自分を助けてくれる人なんているのか。
誰も信じられず、自分の存在すら曖昧で、このままでは呼吸の仕方すら忘れてしまいそう。
そんな風にたった1人で苦しんでいるのなら、この曲を聴いてみてください。
あなたの痛みを理解してくれる言葉が、飾ることなく綴られています。
傷が癒えないまま過ぎていく時間
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PVに使われているのは、片翼の天使のイラスト。
曲を聴くと、このイラストが歌詞の中に登場する「君」であることが分かります。
天使はぐったりとしていて、泣いているようにも見えますね。
心も体も傷付けられ、尊厳すら踏みにじられてきたのでしょう。
このイラストには喪失感や絶望感といったものが強く表れています。
また背景に描かれている時計も、片翼の天使と同じように歌詞とリンクしたもの。
どんなに凄惨な出来事が起きたとしても、時は無常に流れ続けます。
そこで世界が終わることもなければ、時間を巻き戻してくれることもありません。
片翼の天使の背後に時計が描かれているのは、傷が癒えないまま過ぎていく日々の表れなのではないでしょうか。
顔の見えない加害者と被害者
ネットを通じてたくさんの人と繋がれるようになった今の時代。
便利である反面、見えない繋がりによって理不尽に傷付けられている人もいます。
ネットやSNSが普及した現代だからこそ響く。
そんな描写にも注目して歌詞を読み解いていきます。
ネット社会の波に飲まれた
私は時計の針に刺されて死んだ
この世はすでに薄情な言葉に騙されていた
君は名前も顔も性格も
知らない奴の言葉を信じて
声を失った 左翼も失った
匿名者は墜ちてゆく私を見て嘲笑う
出典: ETERNAL BLUE/作詞:美波 作曲:美波
その時代の風潮が人の個性を殺す。
時代に合わせて生きられない者は、善悪と関係のないところで社会から非難されたりするものです。
組織の一部になること。集団の色に染まること。
それを苦手とする者にとって、現代の世の中はかなり生きづらいでしょう。
社会に馴染めず世間から除け者にされてきた苦しみが、1行目の「私は~」の歌詞から伝わってきます。
思わぬところで浴びせられる誹謗中傷。
言葉のナイフは、今やネットやSNSを通じてどこからでも飛んできます。
「君」は現代のネット社会の波に飲まれ、会ったこともない他人に騙されたり、裏切られたりした様子。
誰か1人を晒し者にして、その誰かを無関係の人間が寄ってたかってネットやSNSで叩く。
そういった問題が起こるのは、現代において珍しいことではありません。
「君」も「私」もネット社会で顔の見えない人間に傷付けられてきたことが、ここの歌詞からうかがえます。
「青」は自由の象徴?
I am chaser
I am chaser
I am chaser
永遠の青を知りたいの
I am chaser
名前も名乗らない奴らが私にほざくよ
だけど
We will always return,
this is where we belong.
We will always return.
永遠の青を取り戻せ
出典: ETERNAL BLUE/作詞:美波 作曲:美波
「青」という色からイメージするもの。
それは空や海といった自然の色。清らかさや正しさといった言葉をイメージする人もいるでしょう。
ではこの曲で歌われている「青」とは、いったい何を指しているのか。
「青」を求め、「青」追いかけ、そして「青」を取り戻す。
この曲において「青」とは、自らの手で掴み取りたいものの象徴なのではないでしょうか?
例えば、自由や運命。
「永遠の」とついていることを考えると、「自由」と考えた方が自然かもしれません。
時代や社会に犯されることのない本当の自由。
それを手にした時、ようやく私たちは自分の居場所を得ることができるのでしょう。
生きづらさを感じている人へ
2番でも現代の社会問題と深く関わりがあると考察できる歌詞が歌われています。
この曲は、今の世の中で生きづらさを感じているすべての人に向けた曲なのかもしれません。