ではさっそく第10位~第8位までの発表です!

第10位『ホロネス』

美波「ホロネス」MV

楽曲のタイトルである『ホロネス』とは英語表記にすると『hollowness』となります。

「hollow」とは「空洞」「虚構」の意味。

歌詞を見てみるといずれの意味とも取れそうです。

MVでは白い「本当の私」と黒い「偽りの私」が描かれています。

外面だけを着飾った「虚構の私」を捨て去りたいとする願望が表現されているようです。

なかなか真実の自分の姿でいられないのが社会生活というもの。

無理に作った笑顔の裏に無表情の本当の自分がいて…という経験、貴方にはありませんか?

正直者は狼少年
嘘つきはそろそろ被害者面で嘘泣き始める時間だ 否
こんな3次元なんて逃げたくなるに 決まってんだろ

出典: ホロネス/作詞:美波 作曲:美波

筆者が特に気になった歌詞はここでした。

「虚構」「虚言」など難しいワードも使われている今回の歌詞

しかし平坦なワードでもここまで惹きつける歌詞になっています。

虚構にたいしての現実(リアル)を3次元と呼ぶのは今の表現だと言えるのではないでしょうか。

こういったところに美波さんの独特な作詞センスが光ります。

第9位『Eternal Blue』

【美波】おすすめ人気曲ランキングTOP10!人気曲「ライラック」は何位?鋭い言葉のセンスが光る!の画像

全体的にダークな印象である楽曲です。

メロディックなギターのアルペジオで曲が開始します。

サビになるとロックサウンドが加わり美波の絶唱と共に大きな盛り上がりが用意されています。

エレキギターによる深いディストーションの4分の4のコード奏法が非常に効果的です。

曲のイメージに片翼の天使が起用されており、歌詞のダークさもそれに相まっています。

しかしだからといって美波というアーティストを安直にメンヘラ界隈と結び付けてほしくないと感じました。

女子一人でギターの弾き語りをする姿からも商用化しやすいという大人の事情はたしかに理解できます。

ですが楽曲のクオリティだけで十分に音楽業界で戦っていけるのではないでしょうか?

メジャーデビューにあたって様々な葛藤があったとされる美波。

その原因がここにあったのではないか?と勘繰ってしまいました。

OTOKAKEでのダークで深い歌詞の詳しい解説記事はこちらです。

心の奥底から湧き上がる叫びを切実に歌い上げた美波の『ETERNAL BLUE』。歌詞に出てくる「青」とはいったい何を意味しているのか。過酷な運命に抗う姿を描いた歌詞について徹底解説していきます。

しかしここでも少しだけ歌詞の引用をさせてください。

私は見せ物なんかじゃなく操り人形なんかでもなく
ちゃんと人だ人間だ 大丈夫まだ血は出てくるの
右翼だけでも歩けなくても
求めて お願い

出典: ETERNAL BLUE/作詞:美波 作曲:美波

非常に力強い生きる意志が受け取れるのではないでしょうか。

文学の世界ではこのような対比をされることがあります。

「死のうとしていた」太宰治と、「生きようとしていた」中原中也というものです。

芸術に関することですからどちらが好きかは個人によって違うのは当然のことです。

一般に「生」が賛美され「死」が否定されるのとは全く別次元の話です。

美波は明らかに中也のように「生きようとしている」人間です。

生きることの辛さを書いた歌詞は星の数ほどあるでしょうが、結局それで語り手は「生きる」のか?

ここが非常に大切な部分なのだと筆者は捉えています。

「人間」というワードの後に登場する「血」という表現。

生々しい「生への意思」を感じずにはいられない歌詞表現ではないでしょうか。

第8位『Prologue』

【美波】おすすめ人気曲ランキングTOP10!人気曲「ライラック」は何位?鋭い言葉のセンスが光る!の画像

販売が既に終了している1st Single「main actor」のB面に収録されている楽曲です。

「Prologue」の和訳は「始まり」ですね。

まさにこの曲は「始まりの曲」です。

1st Singleの収録曲でもあるこの曲。

このことから、美波自身の「これから歌でやっていく」気持ちが読み取れるのではないでしょうか。

ミドルなロックサウンドが爽やかです。

挫けそうになっても、それでもやっていくしかないんだ、という思いが伝わってくる歌詞になっています。

特に筆者が気に入ったはこちらです。

「がんばれ」なんて偉いヤツに言われてさ
うんざりなんだよ もういいよ 安い言葉 甘い言葉
もういらない

出典: Prologue/作詞:美波 作曲:美波

これは美波に歌詞で思いっきり言われてしまっている大人がいるってことです(笑)

言われた当人は「あれ?もしかして自分のことかな?」と冷や汗なのではないでしょうか?

こんなにストレートに自分を歌詞にぶつけるのもロックというか、シンガーソングライターだなと感じました。

ただの作詞家だったら、美波のこのエピソードを知っていたとしてもこんな露骨には書けないでしょうから。

なんとも痛快な歌詞です。

相手をビクッとさせ我々にスカッとさせてくれる美波の歌詞は素晴らしいと思います。

そして歌詞の最後の部分。

あぁいいよなぁ お前はいいよなぁ
君って 僕って 迷って
未完成 プロローグ

出典: Prologue/作詞:美波 作曲:美波

「隣の庭は青く見える」ではないですが、自分以外が羨ましく感じてしまうのは人間の常です。

そのことをセリフのように詩にしているのも美波らしいところ。

そしてこれから始めるのは私だけど、これを聴いているあなたもなんだよ、と言ってくれている2行目。

本当に暖かい歌詞だなぁと素直に感動してしまいました。

今回取り上げた歌詞の2つの部分だけでもうこの曲が大好きになりました。