「main actor」が表現する世界感
あなたにとっての人生は?
皆さんは自分の人生を精一杯生きている実感がありますか?
キラキラとした眩しい活躍をしてきたわけでもない。
勇者のような存在とは程遠い。
そんな生き方であっても、何かしらの意味を求めたい。
美波の「main actor」にはこのような思いが綴られています。
人生の価値は自分が決めるもの。
MVには美波の姿が…
漫画の主人公になった美波が泣きじゃくり、立ち上がり、歩き始めます。
歩き始める前には「歌」や「ギター」といった音楽を連想させる演出が…。
美波自身が音楽と出会い、歩く力を取り戻す過程が描かれているのだと思います。
抜け感のある裏声は、とても感情が込められており切実です。
それでは、歌詞からも意味を紐解いていきましょう。
主人公とは程遠い自分
タイトル「main actor」は「主人公」という意味。
まずは漫画の主人公像と自分を照らし合わせながら、自分の中に溜め込んだ感情に目を向けます。
あいつに比べて自分は…
漫画の主人公のあいつは言った
「僕がお前を守るから」ってさ
本当かっこいいよな主人公ってさ
僕といえばただ
逃げ出すだけの村人Bくらいかな
出典: main actor/作詞:美波 作曲:美波
漫画の主人公である勇者は、いつだってキラキラと輝いていて、どんな困難とも向き合います。
恐怖心を乗り越え、更なる成長を遂げる。
どこまでも限界突破していく姿は憧れの的です。
恐らく僕は、勇者が活躍する漫画を読んだのでしょう。
でも、ワクワクする漫画の展開には惹きつけられませんでした。
自分と勇者を見比べて落ち込んでしまったようです。
今の自分は恐怖に負けて問題から逃げてしまっているのでしょう。
そして、正反対の勇者を見て劣等感が掻き回されたのでしょう。
本当はこんな自分なんて嫌。
そんな思いが燻るから辛いのだと思います。
恐怖に負けてしまう自分
嫌な顔一つせず
笑って 影では泣いて
戦った 救った
あいつはみんなの人気者だった
ヒーローだった 当たり前
僕といえばただ
主人公にすがって頼る
村人Cくらいかな
出典: main actor/作詞:美波 作曲:美波
勇者は恐怖心すら乗り越えて立ち向かいました。
恐怖に負けると、他の誰かが犠牲になってしまう。
それが分かっているからこそ勇気を振り絞って活躍したのです。
そして、周囲もその心理を理解して称賛します。
このフレーズからは「恐怖を乗り越えたヒーローは素晴らしい」という考えが読み取れますね。
逆をいえば「恐怖に負けてしまった者はみじめ」という思考が隠れているとも考えられます。
それが自分なのです。
村人AやB…どころかC。
どこまでも主役とは程遠い人生を歩んでいると認識しています。
心が燻るのはなぜ?
活躍する勇者と自分を比べて落ち込んでしまう僕。
そもそも、根本にどんな思いを抱えているのでしょうか?