いまだ紛糾する基地問題
ざわわ ざわわ ざわわ
忘れられない悲しみが
ざわわ ざわわ ざわわ
波のように押し寄せる
風よ悲しみの歌を
海に返してほしい
夏の陽ざしの中で
出典: さとうきび畑/作詞:寺島尚彦 作曲:寺島尚彦
10連目の歌詞。
沖縄にいまなお米軍基地が置かれています。
日本に駐留するアメリカ軍はいまなお沖縄に集中している現実。
私たちは沖縄県民の「もう新しい基地はいらない」という悲鳴に耳を傾けなければいけません。
よく「沖縄には地政学上、米軍基地が必要」という言説があります。
しかし“地政学”という言葉はあっても、“地政学”という科学的学問などこの世の中に存在しません。
「悪魔の島」と呼ばれた沖縄
アメリカ合衆国の負の歴史「ベトナム戦争」でも沖縄から米兵たちが任務に駆り出されました。
ベトナム戦争では沖縄の嘉手納基地などは「補給基地」から「出撃基地」へと変貌。
ベトナムの人々は沖縄を「悪魔の島」と呼びました。
基地によって周辺の街が潤っても、「悪魔の島」とまで呼ばれことを人間としてよしとできるでしょうか?
沖縄の苦悩とジレンマがここにあります。
沖縄の人々はもうあらゆる戦争から遠くありたいのではないでしょうか?
理想を高く持つことこそ人類が人類である証しです。
沖縄で先の戦争とはベトナム戦争のこと
PTSDのように幾度もよみがえる戦争の記憶。
「日本では先の戦争といえば第二次世界大戦」
それが多くの日本国民の常識。
「沖縄で先の戦争といえばベトナム戦争」
そう断言する沖縄の人たちがいます。
先述したとおり沖縄の土地にはまだまだ遺骨や不発弾が眠っている。
だからこそ「戦争はまだ終わっていない」という言葉が繰り返されます。
一刻も早く戦争を終わらせなければいけないのに道は険しいです。
森山良子の苦悩と努力
努力は実る
ざわわ ざわわ ざわわ
風に涙はかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ
この悲しみは消えない
出典: さとうきび畑/作詞:寺島尚彦 作曲:寺島尚彦
11連目の歌詞。
森山良子は1969年にこの曲を初めて録音したとき、とても歌い切る自信がないと感じたそうです。
2001年に「涙そうそう」とのカップリングでこの歌の全11連を録音します。
この歌唱が評価されてレコード大賞・最優秀歌唱賞を受賞しました。
「さとうきび畑」は森山良子以外にも多くの歌手が歌っています。
それでもこの歌を多くの人が知るきっかけになったのは森山良子の努力ゆえです。
まとめ:平和は築いていくもの
建設的テーマとしての平和
さとうきび畑を風が吹き抜けていく。
本来ならば爽やかで平和な歌です。
しかし、そこに横たわる歴史の重さがこの曲を特別なものにしています。
昭和の前半は戦争に明け暮れた不幸な日々が続きました。
しかし平成で私たちは日本が戦場になることがない幸せな時代を生きます。
沖縄の悲しみはまだまだ続くかもしれません。
しかし沖縄で凄惨な地上戦が再び起こるような事態には遠いです。
平和というのはただそこにあるものではなく、日々、積み上げていく建設的なテーマ。
この歌を歌い継いだり、聴き遂げたりすることも平和への努力の一歩に違いありません。
いまある人生が戦禍に巻き込まれるものではない幸せに感謝しつつ、世界中に平和が訪れることを祈ります。
OTOKAKEで振り返る森山良子の関連記事
涙そうそう
OTOKAKEには森山良子の関連記事がいくつかあります。
とりわけ「さとうきび畑」とのカップリングで発表した「涙そうそう」の記事に注目してください。
「涙そうそう」は森山良子による作詞です。
この曲の秘密に迫った記事をぜひ読んでみてください。