とある「3人」が織り成す三原色の物語

YOASOBIといえば、小説などを下敷きに楽曲を作ることで有名ですね。
その作品の世界観を強く反映したイメージの曲に、思わず聞き惚れてしまう人も多いでしょう。
今回ご紹介する【三原色】もまたとある小説を元に、2021年に作られた1曲です。
MVは、「約束のネバーランド」などを手掛けたClover Worksの製作で、見応え十分に仕上がっています。
YouTubeにて公開されていますので、ショートアニメを見る感覚で楽しんでもいいでしょう。
この楽曲の元ネタは、脚本家・小御内優一郎氏が書き下ろした「RGB」というオリジナル小説です。
R=赤、G=緑、B=青なのは、ご説明するまでもないでしょう。
三原色になぞらえたとある幼馴染みの3人が再会を果たす物語で、とてもリアルな描写に驚かされます。
未読の方は、一度読んでみるといいと思います。
また、敢えて小説は読まずに、まずはYOASOBIの世界にだけ浸ってみるのもおすすめの楽しみ方です。
楽曲をじっくり味わってから、答え合わせのように小説に触れるのもいいと思います。
それでは、楽しみ方も様々な【三原色】の歌詞の意味に深く切り込んでいきましょう。
不意に訪れた再会の時
どこかで途切れた物語
僕らもう一度その先へ
たとえ何度離れてしまっても
ほら繋がっている
出典: 三原色/作詞:Ayase 作曲:Ayase
再会というのは、綿密に計画を練らずとも不意に訪れることがあります。
この楽曲の中に登場するRGBの3人も、ひょんなことがきっかけであっさりと再会することが決まるのです。
長く疎遠だったからといって、足踏みをする必要はないのでしょう。
引用歌詞の4行目にあるように、離れていた彼らはずっと、深いところでは繋がっていたのです。
希望を持てる歌詞に早くも、これからの物語がどのように進んでいくのか気になります。
会えるその日に胸は高鳴って
楽曲は早速、再会その日にスポットを当ててきます。
長く顔を合わせてこなかった3人の、少しドキドキする気持ちがリアルに伝わってくるようです。
「またね」の先が動き出す
それじゃまたね
交わした言葉
あれから幾つ朝日を見たんだ
それぞれの暮らしの先で
あの日の続き
再会の日
出典: 三原色/作詞:Ayase 作曲:Ayase
幼馴染みだったRGBの3人はきっと、何度も「またね」と言って別れてきたのでしょう。
それがいつ、何の前触れもなく最後になるかもしれないなどと、考えたことはあったでしょうか。
また明日も同じように別れると信じて、彼らはそんな言葉を交わしてきたのだと思います。
特に仲違いしたわけでもないのに、それまで仲良しだった子と疎遠になっていくことはよくあります。
次第に興味の向かう方向が違ってきて、自然に関係が解消される経験は誰しもあるのではないでしょうか。
【三原色】に登場する3人もまさにそうで、「またね」と別れたきり、別々の毎日を迎えていくようになります。
やがて大人になった彼らは再会を決め、いつか別れた日の続きを始めようとしているのです。
待ち合わせまでのもどかしさをリアルに表現
待ち合わせまでの時間がただ
過ぎてゆく度に胸が高鳴る
雨上がりの空見上げれば
あの日と同じ様に
架かる七色の橋
出典: 三原色/作詞:Ayase 作曲:Ayase
嬉しい相手との待ち合わせでも、その時間が自分の目の前に現れるまでは緊張してしまうものです。
こちらのパートでは、再会を前にしたそんな心境が、瑞々しく描かれています。
余裕を持って待ち合わせに臨むと却ってドキドキしてしまうなんていうのは、よくあることです。
そんな緊張の合間にふと、雨の上がった空を見上げます。
そこには、キレイな虹が弧を描いて空に架かっています。
そんな景色もまた、いつか3人で見たことのある、思い出の景色なのでしょう。
みんなあの日のままだった
胸を高鳴らせた再会は、とうとう現実のものになります。
RGBの3人はそれぞれ、この瞬間をどう見るのでしょう。