彼の心境で一番曲を捧げたいのは若くしてこの世を去ってしまった「岩田ゆり氏」のはずです。
でも「彼女の視点」で曲を書こうと思ったのはなぜでしょうか?
その理由を「岩田ゆり氏」が天国から私たちを見ている視点で紐解いていきましょう。
生きていたかった
せつなくて、悔しくて、
震えているその肩も
愛されたひとつの証(しるし)
出典: One love/作詞:Kenn Kato 作曲:ATSUSHI
本当はまだまだやりたいことがたくさんあったはずです。
しかし生きたいという気持ちとは逆行するように蝕んでいく病。
幸せという餌に食らいつくように牙が向けられていきます。
もう戻れない日々に涙が止まりません。
見下ろすと多くの人が私と同じように涙を流しています。
嗚咽が止まらず肩を抱き合う人々。
知っている顔もたくさん見えます。
会ったことのない人たちも涙で頬を濡らしていました。
「あんなにたくさんの人が泣いているということは、私が必要とされていたんだ」
生きていた時には気づかなかった多くの愛に触れた瞬間ではないでしょうか?
蘇る記憶
けれどそれより
⽬を閉じて、呼吸して、
その胸を澄ませたなら
想い出が、千の笑顔が
⼼の空に輝き出す
出典: One love/作詞:Kenn Kato 作曲:ATSUSHI
目を閉じて深呼吸してみるとたくさんの記憶が蘇ってきます。
楽しかったこと、つらかったこと、苦しかったこと、嬉しかったこと。
短い間いろいろあったけれど本当にいい思い出だった。
もう一緒に過ごすことはできないけれど楽しかった日々は一緒に思い出せる。
「記憶という映像」を通じて今もつながっているということです。
本当の愛に気づいた瞬間
やさしさに包まれていた
確かに感じたそれぞれのOne love
だからもう泣いたりしないで
涙じゃなく笑顔を…
ありがとう
出典: One love/作詞:Kenn Kato 作曲:ATSUSHI
「こんなにも多くの人が私を愛してくれていた」
生きているとき以上に多くの愛をもらえた気がします。
一人一人の愛が「涙」という結晶になって伝わってきました。
そしてみんなが流した「涙」が集まって大きな愛に変わる。
どれだけ感謝しても足りないと言っています。
愛を返すことができない
どんなにたくさんの愛をもらっても、その愛に応えることはできません。
返したくてもみんなと一緒に過ごすことはできないもどかしさで胸がいっぱいです。
だからその愛を近くにいる大切な人のために使ってほしい。
そんな願いが込められています。
生きているうちに返せなかった愛
支えてくれたファンの方々。
仕事で知り合った仲間たち。
家族、友人、自分を陰で応援してくれた人。
たくさんの人がいたから今までの自分があったと確信できます。
でも「どれくらい感謝の気持ちを返すこと」ができたのでしょうか?
生きているうちに親孝行や大好きだったあの人にしてあげたかったことがたくさんあった。
そんな後悔で押しつぶされそうになるかもしれません。
でも生きているあなたにはできることがたくさんある。
だから私の分まで「周囲の人に感謝の気持ちを伝えてほしい」と訴えているように聞こえます。