■小宇宙
宇宙全体の一部でありながら全体と類似したもの。人間、芸術作品などをそう捉えるときがある。哲学用語。これに対して宇宙全体のことを大宇宙という。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/小宇宙
小宇宙を表している感じもします。
多目的な用途を兼ね備える車が「小さい地球」という小宇宙のようである。
そういう意味もあるでしょう。
さらに、誰しも目の前の些細な日常こそが地球の一部であり、宇宙の一部。
そんな小宇宙こと「ちっぽけな地球」で暮らしているという考え方です。
これはアルバム「Sympa」に収録されている「It's a small world」にも通じる世界観かもしれません。
とくに井口理さんの特殊メイクが話題になったMVでは、地球ではない星の些細な愛が描かれています。
今回はSF的な要素は入っていませんが「地球を意識したうえでの日常」という感覚は通じるものがありそうです。
音楽愛が放出される
凍った愛が静かに溶け出したんだ
街から仄かに春の匂いがした
結局何処へも行けやしない僕らは
冬の風に思わずくしゃみをした
出典: 小さな惑星/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
2019年はKing Gnuにとって非常に忙しい1年でした。
その間に制作されたアルバム「CEREMONY」にはタイアップ曲が7曲も収録されています。
スケジュールがタイトになると、問題になるのは楽曲の制作スタイル。
セクションごとのレコーディングの順番など、期日に間に合わせるための方法もあったそうです。
そうなると楽曲としてのクオリティを維持するのがやっとになり、音楽愛を失いかねません。
事情を踏まえると、公の場で眠たげな顔を見せるのも無理はないでしょう。
それでも批判する人がいるとしたら、詩的な歌詞を乗せた音楽愛を贈る。
これが「日常の何気なさに潜む愛」の正体ではないでしょうか。
King Gnuそのものであり、この曲のテーマ、サビの解釈でもあります。
オルタナティブロックを引っ提げてメインストリームに乗り込んでも、辿り着く場所はない。
熱い音楽愛と、鋭く冷めた視点が混在しています。
くしゃみなら許される?
そんなお茶目な一面も見られます。
2番の歌詞を見よう!
些細な日常にこそ愛がある
終わらない歌を
歌っているんだ
意味のない日々に
何を恐れてるのか
出典: 小さな惑星/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
音楽を続けることに限りはない。
そんな音楽家としての愛を込めた音楽表現に、ためらいは必要ないと自分に言い聞かせている感じです。
ただ、これはKing Gnuの音楽の話と捉えた場合の解釈になります。
それより、誰もが眠たい目をこすりながら些細な日常を過ごし、愛を育みながら生きている、ということ。
些細な日常にこそ愛はあります。
だから、もし生きる理由がわからなくても怖がる必要はない、といったメッセージではないでしょうか。
自由に羽ばたこう!
鳥たちは無心で飛んでゆく
ただただ空の青に
魅せられてしまったのか
出典: 小さな惑星/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
ドライブ中、音楽を聴きながら窓越しに外を眺めたのかもしれません。
人は些細な日常に、何らかの理由を見出したくなるものです。
しかし、鳥は「なぜ飛ぶのか?」と考えもせず、自由に羽ばたいています。
音楽家としては、ひたすら音楽を愛しているから音楽愛を伝えたい、としか言いようがない。
そんな思いも読み取れます。
もちろん、音楽の話に限りません。
理由を見出せなくても、生きたいように生き、自由に羽ばたきたいものだ、という話でしょう。
世界観を総括!
共有する音楽愛と人間愛
同じ夢を見たんだ
在り来たりな夢だったと
あなたがふっと笑うから
出典: 小さな惑星/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
幅広い意味に解釈できる歌詞です。
ただ、King Gnuのメンバー4人が、音楽に対して同じ思いを抱いていると捉えたくなります。
上質な音楽が真っ当に評価され、たくさんの人に聴いてもらえる環境になってほしい。
こうした音楽愛を共有している音楽家4人、あるいはクリエイティブ集団PERIMETRON(ペリメトロン)。
ファンも含め、King Gnuに関わる人すべてが同じ思いではないでしょうか。
そこには音楽愛や人間愛しかない。
こう表現すると、ありがちという話になってしまうかもしれません。
それでも、と微笑む常田大希さんの顔が目に浮かぶようです。