「だらだら」「ギラギラ」という擬態語を頭において韻を踏んでいます。
また、「したいよ」と「したくないよ」は反対語になっていますが「よ」と語尾を合わせています。
自分が動かない代わりに動いてくれるのは、ここではメイドさんです。
FM7 Em7 Dm7 CM7
ふわふわ したいよ なにもしたくないよ
FM7 Em7 Dm7 CM7
キラキラ 未来が やってきたから
FM7 Em7 Dm7 Em7
私の かわりに がんばって
FM7 Em7 Dm7 CM7
ほら まあるい 顔した ロボットよ
出典: 無気力スイッチ/作詞:324P 作曲:324P
同じく擬態語で「ふわふわ」、「キラキラ」と韻を踏んでいます。
先ほどは、メイドさんが出てきましたが、今度はロボットです。
「まあるい顔したロボット」というと、藤子・F・不二雄の漫画作品「パーマン」に登場するコピーロボットを思わせます。
コピーロボットの鼻は赤いボタンになっていて、ボタンを押した人物の姿に変身して代わりにいろいろなことをやってくれます。
本来は、本人が正義のヒーローである「パーマン」として活躍している間に、代わりに日常生活を送ってくれる役割で、何もしたくない人のためのものではありません。
ラップで語られる無気力の意味
「無気力スイッチ」の楽曲の中で、多くを占めるのがこのラップ部分です。
言葉少ないAメロ部分と比べて、かなり言葉が詰め込まれています。
B♭ Cm
悲しいことや 苦しいこと
D♯ Fm(コードは以下繰り返し)
汚いこと 全部いらない
勇気や元気も 必要ない
希望も絶望も いらない
1に睡眠 2に怠慢
参加することに消極的
静かな時間がほしいだけ
未来世界の遊び人
口にした言葉 自己正当化
膨らんだ妄想 育つ劣等感
恵まれた才能 無駄にした煩悩
行きづらい学校 今日も不登校
出典: 無気力スイッチ/作詞:324P 作曲:324P
ここでも韻の踏み方としては、はじめの節の4行中、1行目を除いては語尾を「ない」で統一し、畳みかけるようなリズムの面白さを創り出しています。
不必要なものを列挙していて、ネガティブなものは要らないとしていますし、ポジティブなものすら要らないとしています。
確かにポジティブなものの中にはメンドクサイものも多いですよね。勇気、元気、希望なんてメンドクサイものの代表です。
また、「恵まれた才能 無駄にした煩悩」は「ノウ」と韻が踏みたかっただけかもしれませんが「無駄にした煩悩」なんてなかなか思いつきません。
なんだろう?と思う言葉の選択が素敵ですよね。無気力ですけど。
睡眠こそ大事
長めのラップが終わりメロディ始まりますが、睡眠のことしか歌っていません。
B♭ Cm D♯ Fm
眠っているよ ふとんのなかで
B♭ Cm D♯Fm
眠っているよ ずっと
B♭ Cm D♯ Fm
眠っているよ ふとんのなかで
B♭ Cm D♯Fm C
眠っているよ ずっと
出典: 無気力スイッチ/作詞:324P 作曲:324P
この反復部分は、歌詞だけでなくメロディーも繰り返しになっていて、聴いているとクセになります。
朝からボソッと口ずさんでみると楽しいですよ!
ついにやりたいことが出てきますが…
ここまでは基本的にやりたくないことが並んでいましたが、ついに、やりたいことが出てきますよ!
しかも、実は全体のテーマはここにあったのでは?と思われる表現もここに出てくるんです。
だらだら したいよ なにもしたくないよ
誰かが かわりに やってくれるでしょ
明るい場所には行きたくない
まだモードの切り替えできてません
いちゃいちゃ したいよ あなたとだけよ
キラキラ 輝く 太陽の下で
菜の花畑でつかまえて
ねえ まんまるおしりのお嬢さん
出典: 無気力スイッチ/作詞:324P 作曲:324P
これまで、やりたくない話ばかりでしたが、「イチャイチャ」したいようです。
また、ここの「菜の花畑でつかまえて」とというフレーズはJ・D・サリンジャーの小説のタイトル「ライ麦畑でつかまえて」を思わせます。
小説の主人公は、社会の欺瞞に耐えられず孤独を深めていくのですが、「無気力スイッチ」の主人公は、それよりも少しだけ先端を丸くした雰囲気を持っています。
歌詞の中に何度も「まんまる」、「まあるい」と出てくるように。