超個性派バンド爆弾ジョニーの「なあ~んにも」

直情的かつ個性的なバンド・爆弾ジョニー。

そんな彼らが2014年に発表したのが「なあ~んにも」という楽曲です。

カノン進行で、ひたすら何も持っていないことを叫ぶこの歌。

爆弾ジョニーは、一体どのようなメッセージを曲に込めているのでしょうか?

歌詞を細かく解説しながら、この曲が携える本質的なテーマに迫ります。

爆弾ジョニーファンもそうでない方も、「なあ~んにも」の世界観に浸ってみてください。

愚かさを歌う1番の歌詞

生き方を嘆くような1番Aメロ

無駄なことばかり覚えて ぼくらここまで染まってきた
きっとこれからももっとたくさんいろいろつめこんでく

出典: なあ~んにも/作詞:爆弾ジョニー 作曲:爆弾ジョニー

無駄なこととは、一体何を指しているのでしょうか。

つめこむと言っているので、学校教育などが想起されます。

もしくは受験勉強などです。

歌詞の主人公は、今ままで勉強してきたことを嘆いているのでしょうか?

学校教育や受験は、社会に出るために大切な過程です。

しかし、自分の将来の目標や夢と勉強がかけ離れていたならどうでしょうか。

その時間を、もっと自己実現のために使えばよかったと後悔するかもしれません。

学生時代にたくさん勉強をしたけど、大人になってバンドマンとして生活している人がいるとします。

その人は、若い頃に学校の勉強ばかりせず楽器の練習をもっとしておけばよかったと思うかもしれません。

そちらの方が、生活する上で役に立ったはずだからです。

バンドマンでなくても、学校の勉強とかけ離れた専門職に就いた人は、1度はそんなことを考えるかも。

将来目標に到達できた人はまだいいですが、夢を叶えられなかった人は、より後悔するでしょう。

主人公は、そんな人たちを代表して叫んでいるのでしょうか。

ただ、2行目の歌詞を聴いてみると、それだけでもないようです。

2行目の歌詞を深掘り

きっとこれからももっとたくさんいろいろつめこんでく

出典: なあ~んにも/作詞:爆弾ジョニー 作曲:爆弾ジョニー

今後も、無駄とわかっているにも関わらず、つめこみが避けられないといったニュアンスです。

無駄というのは勉強だけでなく、もっと大きな概念のものなのでしょう。

社会の常識や、日々のニュースなどを表しているのかもしれません。

それならば、“避けられない”のがなぜかわかります。

世の中に溢れかえっているからです。

もちろん、常識やニュースが一般的に無駄だということではないです。

ただ、その色に染められ過ぎてしまったら、同じような考え方の人間ばかりになってしまうかもしれません。

良くも悪くも社会に生きている以上、そんな状態を回避することはできないのです。

歌詞の主人公は少し個性的な考えの持ち主で、このような状況に気づいて嘆いているのかもしれません。

みんなが同じような常識で縛られてしまったら、世の中から面白味が消えてしまう。

普通に暮らす人にとっては、特段問題となることではないかもしれません。

しかし、主人公にとってこれは大きな悲劇なのでしょう。

人と人との繋がりを歌ったBメロ

恋を知って!愛を知って セックスを知って愛を忘れてえ
うれしくなって かなしくなって
人はひとりでは生きてゆけない だから

出典: なあ~んにも/作詞:爆弾ジョニー 作曲:爆弾ジョニー

1行目では、少年が大人に変わっていく過程が歌われているようです。

人は、理性と本能の両方に振り回されながら、成長していきます。

人生では、少年の頃に思い描いていた理想像だけではどうにもならないような事態も起こることでしょう。

ときには、自分の理想像を破壊しなければならないこともあるはずです。

そんなときに、きっと悲しくなったのでしょう。

そして、恋や愛と距離を置きたくなったのかもしれません。

恋や愛がなければ、苦しむことはないでしょう。

しかし、そのぶん楽しいことも味わえなくなります。

だんだんと、人と関わらないことの間違いに気づいていったのではないでしょうか。

主人公はそれを悟って3行目のように叫んだのです。

社会的動物である人

ここで古代の哲学者であるアリストテレスの言葉を引用してみましょう。

歌詞のメッセージに通じていることです。

人間というのは、自己の自然本性の完成をめざして努力しつつ、ポリス的共同体(つまり《善く生きること》を目指す人同士の共同体)をつくることで完成に至る、という(他の動物には見られない)独特の自然本性を有する動物である、ということを述べた。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/社会的動物