少年少女、つまりは全員に対して呼びかけている歌詞。
これによってこれからホームパーティーを始めるのだと分かります。
それから、お菓子と夢を詰めて集まるのは、主役となる女の子の家。
自分の家に招待するという立場であり、夢を与える立場でもある女の子。
お菓子と夢を並列して表現していることにパーティーへの意気込みを強く感じます。
そして、自分の家で行う夜のパーティー。
字面としてもParty Nightを初め、略語や若者言葉盛り込まれていることが面白いです。
女の子らしさにフォーカスしながら、テンションが上がっている様子を絶妙に表現しています。
ひたすら楽しい印象を与えてくれる
一人称の変化
あなたとわたし You and Me
今宵は楽しい Uki Uki Midnight
門限 Closing Time
ノノノン! No Way!
まだまだ続くよ
Kinkirariiiiinnnnn !!!
出典: ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト/作詞:RYU-METAL・FUJIMETAL・中田カオス 作曲:TEAM-K
楽曲が中盤に差し掛かると大きな変化が表れます。
それは二人称と一人称が変化しているということ。
自分以外の人を呼びかける際の二人称は少年少女だったものが、あなたに変化。
さらに一人称は、アタシだったものがわたしに変化しています。
これは発音だけでは分かりづらく、歌詞を見る必要がある内容ではありますが、重要な変化です。
あなたとわたしと表現することで、漠然とした印象から一気に距離が縮まった気がします。
あなたと呼びかけられる対象は一人しかいないのですから。
さらに、アタシという崩した表現から、わたしという言葉への変化。
全体を通して幼く、崩れた表現を使いがちな女の子だったからこそ表現の変化が際立ちます。
大衆ではなく、個人間での話になるときは、気遣いをする女心。
これもまた、心情を的確に捉えているように思います。
楽しいパーティーの時間ですが、楽しい時ほど、時間はあっという間に過ぎるもの。
過ぎた時間を門限について触れて表現しつつ、それを嫌だと言って一蹴します。
それからパーティーは続くことを告げます。
パーティーは終わらない
楽曲はいよいよクライマックスへ
眠くなってきた お腹もいっぱい
でもこれからが クライマックス
しょぼしょぼ おめめこスゥって「マジ?」
アゲポよーで キンキラリーン!
出典: ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト/作詞:RYU-METAL・FUJIMETAL・中田カオス 作曲:TEAM-K
再びサビを挟んで、いよいよ楽曲は終盤に差し掛かります。
どれだけはしゃいでいても、やはり年頃の女の子なので、眠さには勝てない様子。
さらにお腹もいっぱいということから十分に満たされたということが分かります。
パーティーに満足して、楽曲は終わりを告げるのかと思いますが、そうではありません。
次の歌詞では、さらにテンションを上げていくということが歌われています。
眠くなり、満足もしたはずなのに更に盛り上げていく。
よほどこのパーティーは特別なものなのでしょう。
眠くなった目をこすりながらパーティーを続けます。
ここでも、敢えて幼稚な表現を使うことで、幼さを強調しています。
最後にもう一度輝くということをオノマトペで表現していることも楽曲の世界観といえるでしょう。
しかし、そろそろパーティーも終わりを迎えます。
どんな終わりを迎えるのか気になる要素を残しながら再びサビを挟みます。
物語はエンディングを迎えない
エンディングを迎えることを期待しますが、サビに入って楽曲はそのまま終了します。
パーティーはどうなったのか気になって仕方がないですが、終わりを敢えて教えてくれません。
これが楽曲の結末を想像するという楽しみを残してくれるため、かえって印象に残ります。
ですが、きっと大満足で楽しい気持ちを持ったままパーティーは終わったに違いありません。
それはパーティーの主催者である女の子の人柄や、これまでの歌詞から予想することができます。
おわりに
あどけなさが残る少女を歌った楽曲
ここまで、BABYMETALの「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」の歌詞を解説してきました。
ただ聴いているだけでは、なんのことを歌っているのか掴みづらい歌詞でもある楽曲です。
実際に見ていくとパーティーを楽しみにしている少女を描いた楽曲だと分かりました。
しかし、本楽曲が持っているのは、それだけの意味ではないと思います。
それは主人公になっている少女の年代が、歌っているBABYMETAL本人達に重なる点が多いからです。
発売当時の彼女達はまだ、あどけなさが残る年齢であり、大人ではありませんでした。
そんな心情を的確に捉えて歌詞としていることには、歌詞以上の意味があるよう考えざるをえません。
つまり本当のパーティーとしてだけでなく、ライブの意味を込めているのではないでしょうか。
準備をして思いっきり楽しみ、そして終わりが惜しいように思えるという点において類似しています。
ライブを楽しいパーティーに擬えた楽曲といえるのではないでしょうか。
だからこそ、ダブステップの要素を取り入れ、ポップでアッパーなメロディーなのだと思います。
この点においても大きな意味を持つ楽曲です。
それでいてユニークな歌詞に終始している点は、BABYMETALだからこそ表現できることです。