目標を見失ったときのコンビニの光=希望にひと安心している様子だった主人公。

しかしここでは自分から道を外れようとしている様子さえ感じられます。

言い換えてしまえば「夢を諦める」ということ。

目標を見失いかけたときの暗闇は当然予期せぬものですから、恐怖を感じます。

しかし自ら望んでそちら側に飛び込めば、心構えがあるから大丈夫だろう。そう考えているのでしょう。

しかし主人公、それが強がりだったと気がつきます。

やっぱり怖いこと

逃げてもそう結局は
傷つくもんだな
僕らはそう簡単に
壊れてしまうんだな

出典: ハイウェイ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

逃げる覚悟」を決めて飛び込んではみたけれど、それも実は苦しいことなのだと気がついたようです。

何かに向かって走り続けている間は、「こうして頑張っているから傷つくんだ」と感じるもの。

つまり「走ることをやめれば傷つかなくていいかもしれない」と想像してしまいがちなのです。

しかし実際に逃げてしまえば、それもそれで大きな苦しみを伴うでしょう。

もっとやれたかもしれない。こうすればよかった。「後悔」という名の傷です。

後悔の厄介なところは、深い傷を残したままそれが消えにくく再発しやすいということ。

逃げれば楽になると思っていた人々にとっては、予想外の痛手となったことでしょう。

しかし1度「逃げる」を経験したことによって、こうして新しい発見をすることもできました。

逃げると人は後悔すること。後悔がつける傷は深いこと。その傷は人を苦しめること。

自分のことなのにどことなく他人事のように綴られている歌詞は、まさに若者ならではといえるでしょう。

また進みたい

風を切って進む

僕はハイウェイにのって
どこまでも行くんだゆくんだ
夜の風に溶けて飛んで行けるよ

出典: ハイウェイ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

目標を見失い逃げかけていた人々が再び、目標に向かって進み始めた様子が描かれています。

そうして進んでいく様子を表した3行目は、非常に幻想的なフレーズですね。

「夜」という言葉からは「暗さ」「少しの恐怖」が感じられます。

つまり目標に向かって進むべき道=ハイウェイの途中で襲いかかってくる困難が「夜」でしょう。

これまではそんな恐怖に打ち勝つことができず、必死にコンビニの明かり=希望を探していました。

もちろんこれも大切なことです。しかしここで取ろうとしている行動は少々異なる様子。

僕はそんな夜の恐怖と同化してしまおうといっているのです。

つまり道の途中で襲いかかってくる恐怖に反発するのではなく1度自分の中に受け入れて解消する、ということ。

逃げることの苦しさを知ったからこそ、ただ反発しているだけでは解決できないと知ったのでしょう。

であればしっかり自分の中に受け入れ、向き合い、根本から打ち勝つ努力をすればいい。

そのために夜の恐怖と同化しよう、同化できるといっていたのです。

僕は正直じゃなくて
ほんとは怖いんだこわいんだ
涙はスピードのせいにしてよ

出典: ハイウェイ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

こうして少し成長した「僕」ですが、ここでは本音が綴られています。

恐怖と同化できると語っていた「僕」。

そこにはどことなく余裕が漂っていましたが、1行目を見るとそれが強がりだったとわかります。

恐怖を受け入れることは同じくらい、またはそれ以上の恐怖感を与えてくるでしょう。

その恐怖から、「僕」は無意識にを流しています。

しかし「僕」はまだ強がりたいのでしょう。怖いけれどその気持ちを隠したがっていますね。

目標に向かって猛スピードで進んでいるが故に、目が乾いて涙が出てしまっただけだ。

苦し紛れの言い訳にも聞こえますが、そんな言い訳ができるのも主人公が成長して行動に移したからでしょう。

決意とともに

逃げんのはもうやめにしよう
傷つくばっかだ

出典: ハイウェイ/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ

1度目標を捨てて逃げてしまったことから、逃げることの苦しさを学んだ「僕」。

走り続ける中でたくさん傷つき、たくさん学び、そして大きな成長を見せました。

最後に、今回の経験を通して学んだ1番重要なことを反復しています。

辛く苦しいことがあっても、もう絶対に逃げない。無駄に自分を傷つけるのはもうやめよう。

これからも進み続けるための決意表明のようにも感じられます。

まとめ

羊文学【ハイウェイ】歌詞の意味を解釈!なぜ怖がっていることを隠すのか?僕らの目的地について紐解くの画像

主人公の「僕」には、まさに現代の若者の姿が投影されていました。

この楽曲の主人公のように、自分が成し遂げたいことに向かって必死になれる人は少ないのかもしれません。

さらに「僕」が余裕そうに見えて恐怖を抱いていたのと同じように、あまり感情を表に出さないのでしょう。

「どうしてそんなに必死になっているの?」周囲からそう思われるのが怖いのかもしれません。

しかし目的地=自分自身の目標に向かって走ることはやめられない。

「僕」もそう思いなおすことができたからこそ、楽曲最後には再び走り出すことができたのです。

必死に頑張る若者のリアルを描いた楽曲、【ハイウェイ】をご紹介しました。

最後に