the pillows

1989年に結成されたthe pillows1991年にメジャー・デビューします。

しかしメンバー間の音楽性の相違やメンバー・チェンジなど様々な困難にあいながらバンドの活動を続けます。

80年代から90年代にかけては海外でもテクニック重視のハードロックからNIRVANAを代表するグランジ、オルタナティヴロックへの変化があり、the pillowsというバンドは音楽的に揺れていた時期に誕生したバンドだったと言うことができると思います。

初期の楽曲はソフトで爽やかさも感じさせるような売れることを目指した楽曲も多かったようですが、不遇の中で徐々に音楽性が変化していきました。

今、聴けば鮮やかに日本流のオルタナティヴロックだとわかる「ハイブリッドレインボウ」は、歌詞の中にもそう感じさせる失われた世代の音楽を感じます。

今回はグランジ/オルタナティヴロックとは何かということをふまえつつ、この「ハイブリッドレインボウ」を紹介します。

【ハイブリッドレインボウ/the pillows】はBUMPもカバー!?気になる歌詞&コードあり♪の画像

グランジ/オルタナティヴロックとは?

1990年代の前後に日本ではバブルとその崩壊という大きな社会現象が起きました。

日本がバブルに浮かれていた時期、アメリカでは経済的な敗北をうけて日本製品の不買運動がおきるなど大きな問題が起きていました。

アメリカは日本よりも早く困難な状況へと突入していたと言えるかもしれません。

そうした時代に、様々な社会問題を受けて登場したのがNIRVANAのカート・コバーンであり、グランジ/オルタナティヴロックだと思います。

YouTubeでNIRVANA「Smells Like Teen Spirit」をcheck!

パンクロック、ニューウェイヴなど1970年代からハードロックなどのテクニック志向の音楽に対する別の可能性として新しい表現が様々な形で生まれていました。

ポップミュージックは人々の心の楽しい部分や愛など、世間的に良いと思われる表現を追求することが多いのですが、新しく登場する世代は常に自分たちの世代のものを模索します。

新しい世代が社会問題と結びついて、大きく音楽を動かしはじめたのがNIRVANAを代表するグランジ/オルタナティヴロックだったと言えるでしょう。

音楽が心や社会の投影であり、だからこそ新しい状況の中で新しい音楽が生まれます。

NIRVANAがストレートに肯定ではなく否定を表現したこと、そしてそれが根源的にシンプルなものであったことは驚くべきことでした。

筆者はハードロックとは技術志向のロックであり、そのまま産業社会とともにあったロックだと考えています。

そうした社会に対して、オルタナティヴ(別の)・ロック、つまり別の社会が無意識に求められていたと思います。

【ハイブリッドレインボウ/the pillows】はBUMPもカバー!?気になる歌詞&コードあり♪の画像

the pillowsはちょうど変化の時にキャリアをスタートさせています。

当初はビートルズのようなロックを志向していた彼らが、不遇の中で変化し、奇跡的に日本のグランジ/オルタナティヴロックを体現したような名曲「ハイブリッドレインボウ」を生み出したのは偶然でしょうか?

名曲「ハイブリッドレインボウ」の歌を聴く

YouTubeで「ハイブリッドレインボウ」をcheck!

イントロはソフトで優しい感じもするロックです。

これが本来、彼らが持っていた音楽性なのだと思います。

でも、不遇の中で彼らは音楽的にグランジのように音を爆発させます。

静と動。

カート・コヴァーンのような強烈さはありませんが、確かに魂の響きが聴こえます。

痛みがあるのです。

「ハイブリッドレインボウ」の歌詞を読み解く

ほとんど沈んでるみたいな無人島
地球儀にのってない 名前もない
昨日は近くまで 希望の船が来たけど
僕らを迎えに来たんじゃない

出典: https://genius.com/The-pillows-hybrid-rainbow-lyrics

"ほとんど沈んでいるみたいな無人島"という表現が冒頭から刺さります。

バブルが終わり、夢や希望もない。

そういう時代に、自分はひとりぼっちです。

まだインターネットの時代は先です。

希望は別の誰かの元にはやってくるけれど、決して僕のところにはやってこない。

デビュー曲と比較してみればわかりますが、彼らの身にも時代にも大きな変化が訪れました。

太陽に見惚れて少しこげた
プリズムをはさんで 手を振ったけど

出典: https://genius.com/The-pillows-hybrid-rainbow-lyrics

希望へむけて無人島から大きく手をふります。 でもやってきた希望という船は僕のことを知らないみたいなのです。

Can you feel?
Can you feel that hybrid rainbow?
昨日まで選ばれなかった僕らでも
明日を待ってる

出典: https://genius.com/The-pillows-hybrid-rainbow-lyrics