瓦礫の山は空高く聳え
僕にはまだ乗り越えられない
聞こえない もう 天使の唄声は
LaLaLa…LaLaLa… どこに行けばいい?

あの日僕は君の手を掴もうと
この腕を思いきり伸ばしたんだ
届かない ほんの少し…後少し
LaLaLa…LaLaLa… どうすればいい?

出典: Fallin' Angel/作詞:林保徳 作曲:林保徳

「瓦礫の山」というのは、実際に「震災で町を埋め尽くした瓦礫」という意味と、「心の中に鬱積する怒りや悲しみ」を指しているのでしょう。

そして「天使の唄声」が聞こえなくなってしまったという描写から、愛する人の声を忘れたくないのに、それもだんだんと消えていってしまう現状を嘆いている様子が伺えます。

そして後半のサビの歌詞が、別れの辛い状況を伝えています。東日本大震災では、必死に救おうとしたのにあと一歩で救えなかった命がたくさんありました(筆者は東日本大震災の被災者です)。

運命を分けるのはほんの何秒、何cmの差でしかなく、それを詰められなかった自分を登場人物は激しく責めています。

このような時、周りからの「あなたは悪くないよ」というなぐさめの言葉は、救いにはならないのです。

悲しみを歌うブリッジ

二人の距離がまた離れ 君に手が届かなくて…
後もう少しだったんだ…でも君に手が届かなくて…

出典: Fallin' Angel/作詞:林保徳 作曲:林保徳

この曲のブリッジでは、登場人物の「サバイバーズギルト」の心理を更に歌っています。

誰かが亡くなってしまった時、「自分があと少しこうしていれば助かったかもしれない」という状況は筆舌に尽くし難い苦しみを生き残った人に与えます。

登場人物は、愛する人を助けようとしてその指先に一瞬触れたのかもしれません。しかしその命を救う事はできなかったのです。

曲はこの後、1番のコーラスとブリッジを繰り返します。最後はブリッジで終わるのですが、歌詞が変わるのでそちらも併記しておきましょう。

二人の距離がまた離れ 君に手が届かなくて…
後もう少しだったのに 君に手が届かなくて…

眠れば同じ夢ばかり 君に手が届かなくて…
そしてのみ込まれたスローモーション 君に手が届かなくて…

濡れた君を抱きかかえた 君に手が届かなくて…
君の名を叫び続けた 君に手が届かなくて…

出典: Fallin' Angel/作詞:林保徳 作曲:林保徳

「のみ込まれた」「濡れた君を抱きかかえた」という歌詞を素直に解釈すれば、愛しい人は津波の犠牲になってしまったのでしょう。

あと少し早く、あと少し遠くに自分が手を伸ばせれば救えたかもしれない命。

楽曲の中では、この曲の登場人物に救いは訪れません。「サバイバーズギルト」に苛まれながら、愛する人がいなくなった世界で生き続ける様子を最後まで描いています。

 

Fallin' Angel/Acid Black Cherryは収録アルバムの鍵となる一曲!歌詞解釈の画像

歌詞を深読みすると「メメントモリ」に行き着く

「メメント・モリ」とは、「死を強く意識する事で、逆に今この瞬間瞬間を生き尽くす」という意味の言葉です。

この曲で歌われるのは「死」や「永遠の別れ」といった人生の悲しい出来事ですが、その裏を返すと「愛する人と生きられるこの一瞬一瞬を十分に味わいなさい」というメッセージが見えて来ます。

家族であれ恋人であれ、いつも一緒にいる人は、明日もまた自分の隣に居てくれると思いがちです。でもそんな保証は全くありません。

歌詞の行間に表れるこのメッセージを、ぜひ感じ取ってみて下さい。

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