失望
何もかもに期待しては
何もかもが弾け消えて
誰も彼も期待しては
誰も彼も消えた
出典: Morning Is Comin/作詞:武市和希 作曲:mol-74
この部分の歌詞も「も」を含む前後の言葉が韻を踏んでいます。
言葉の繰り返しは大切なことを伝えるためです。
誰もが期待に胸を膨らませるけど、それが現実になるのは極めてまれ。
期待は裏切られ失望へと変わります。
そんな思いを何度繰り返したことでしょう。
mol-74は厳しい現実を私たちに突き付けてきます。
救いと癒し
歌詞は執拗なまでに否定的な言葉を連ねています。
それは苦しみの実態を自覚するために必要なステップだといえるでしょう。
古傷
「古傷が痛む」という言い回しがあります。
これは季節の変わり目など、気温や湿気の変化で実際に古傷が痛む場合に言いますが、それだけではありません。
心に負った傷が何かのきっかけでフラッシュバックして責め苛まれる場合にも使われます。
楽しい記憶よりも、辛い記憶の方が心に深い爪痕を残すものです。
この部分ではそうした心の古傷を「僕」と「君」で分かち合おうと呼びかけています。
それは辛い記憶や体験が人を結び付けやすく、共感できるからでしょう。
冒頭から「私」は否定的な言葉を並び連ねて「僕」に心の闇に目を向けさせてきました。
歌詞はここから徐々に「救い」と「癒し」に向かって歩みを始めます。
星の意味するもの
遠くに見えた
届かなかった
美しかった
星のような、彼らのように
彼女らのようになりたかった
出典: Morning Is Comin/作詞:武市和希 作曲:mol-74
曲のタイトルと関連して、「君」の心にある闇の部分は夜になぞらえることができます。
それはここで「星」が出きたことからも分かるでしょう。
星は手に届かないもの。
適わなかった期待も手の届かない存在です。
夜の闇から朝を迎える
これまでの歌詞は自分の嫌な部分を抉り出すようにしてきました。
それは意味のないものだったと気付かなければなりません。
闇の中
朝になったら
夜が明けたら
見上げてみれば
全部いなくなった
一体僕は今まで何を見ていたんだろう?
出典: Morning Is Comin/作詞:武市和希 作曲:mol-74
そして朝が来ます。
この朝の捉え方が重要です。
最初に英語のタイトルを「来るべき朝」あるいは「朝が来る」と訳しました。
つまりこの歌詞の世界ではまだ朝が来ていません。
この部分の一行目を見てもまだ夜明け前なのは明らかです。
「君」はまだ夜の闇の中にいます。
でも、朝は確実に来るのです。