ZARDの「心を開いて」
18枚目のシングル曲
ZARDの「心を開いて」は、1996年にリリースされたZARDの18枚目のシングル。ポカリスエットのCMソングとしても知られています。
切ないメロディーと歌声に出だしからふっと心を奪われ、聞いているうちにいつの間にか夢心地に浸っている……そんな曲です。
じんわりと胸に響く本当に美しい曲で、ファンの間でも「ZARDの中でこれが一番好き!」という声の多い1曲です。
名曲は色あせないと言いますが、20年以上前の曲なのに全く古臭さを感じないところが素晴らしいところですね!
豪華すぎる制作メンバー
ミキシングは、B'zの「Real Thing Shakes」のプロデュースのために来日していた、レッド・ツェッペリンなどのエンジニアを務めたアンディ・ジョーンズによるものである。アンディは、『TODAY IS ANOTHER DAY』収録の「眠り」や、2005年発売の『君とのDistance』収録の「月に願いを」でもミキシングを担当した。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/心を開いて
豪華メンバーが手掛けたミキシングによって、「心を開いて」は究極に心地よいサウンドに仕上がっています!
聞いていると、このままずっと波に身を揺らしていたいような気分になります。
心の泉のような坂井泉水
2007年には惜しまれながらこの世を去ってしまったボーカルの坂井泉水。メディアにはあまり登場しなかったため、謎は多かったのですが、彼女には多くの伝説が残されています。
その一つは、曲作りにとても熱心で、どの曲も満足できる曲に仕上げるために、リリース直前まで調整していたこと。
書いてもらった時点の曲と仕上がった曲が全く違ったものになっていることも多かったそうです。
満足の行く曲に仕上がったときはとびきりうれしかったでしょうね!
そして曲や声、伏し目がちな視線にも表れていますが、内省的な一面があり、人と深く関わることも少なかったとも言われています。
彼女の作る歌詞には、彼女の感じていたことがありありと表れていて、だからこそ共感できる人も多いのでしょう。
切なすぎる歌詞の意味を解釈
私はあなたが想ってる
様な人ではないかもしれない
でも不思議なんだけど
あなたの声を聞いてると
とても 優しい気持ちになるのよ
このままずっと 忘れたくない
現実(いま)が想い出に変わっても
言葉はないけど きっとあなたも
同じ気持ちでいるよね
出典: 心を開いて/作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎
あなたへの想いがあふれる出だし
はじまりの部分からなぜか心がじわっと熱くなるセリフです。
受け入れられるか分からないと感じる女性の、謙虚な想いからはじまります。自分に自信はないけれど、声を聞いているだけで幸せというピュアな気持ちが伝わってきます。
「やさしい」というフレーズの歌い方がとっても柔らかですね。やさしいの意味が伝わる歌い方です。
何も言わずに静かに幸せをかみしめる2人の姿が想像できます。
人と深くつきあうこと
私もそんなに 得意じゃなかった
でも あなたを見ていると
私と似ていて もどかしい
そういう所が たまらなく好きなの
ビルの隙間に二人座って
道行く人を ただ眺めていた
時間が過ぎるのが 悲しくて
あなたの肩に 寄りそった
出典: 心を開いて/作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎
似ているあなたへの想いがつのる
人と深く付き合うのが怖くて、人付き合いが上手くいかないと思うことは誰にでもあるでしょう。主人公はそんなことが重なって、深い付き合いを避けてきたかもしれません。
この部分は、深い付き合いは苦手だった坂井泉水が、歌詞の主人公を通して自分自身の性格を告白する部分でもあるのかもしれません。
人付き合いが苦手な人には共感できる部分も多いでしょう。そしてそれを隠さずにさらけ出す歌詞に魅力を感じます。
そんな主人公の女性は、相手にも似たところがあると感じます。そして相手が自分と似ているからこそ余計に好きになります。
言葉もなくただただ一緒にいるだけで幸せ。そういう気持ちが伝わってきて、心が熱くなります。
My dream Your smile
忘れようとすればする程 好きになる
それが誤解や錯覚でも…
心を開いて
どんなときも あなたの胸に
迷わず 飛び込んでゆくわ
Your dream I believe
ときめいてる 心を開いて
出典: 心を開いて/作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎
そして間奏が入ったあと、パッと明るくなるこの部分にくると、突然過去の話のようになるので、混乱してしまいます。
今までは確かに現在の恋愛観を表していたのになぜ?という疑問がわいてきます。
坂井泉水が亡くなってしまった今、真意は分からないままですが、ここでは突然過去のことを思い出すかのように話が展開します。
もしかしたら、「心を開いて」というのは自分自身に語りかけている言葉なのかもしれません。
坂井泉水自身も、歌詞を書いているうちに突然忘れられない過去を思い出してしまったという解釈の仕方もあります。
しかし実は、今まで現在の恋愛のように語られていた恋愛は、もともと過去のものだったとも考えられます。
心を開くことができなかった過去。好きだとさらけ出して伝えることができなかったのかもしれません。
過ぎ去った過去を今でも受け入れられずに、現在形で語りかけていたのではないかと思います。
しかし、最後にはリスナーにも分かるように過去のことだったと告白するのです。
同時にここで、もう過ぎ去った恋愛なのだと自分でも受け入れることができたと考えることもできます。
過去の恋愛では心を閉ざしたままだったけれど、自分の夢もあなたの夢も大事にするから。
もし心を開くことができて、あなたの元へと戻っていったら、きっと迷わずあなたについていく。
叶わなかったけど忘れられない恋。開きたいけど開けない心。この曲の歌詞にはそういう胸が締め付けられるような想いが込められているのかもしれません。