「鉄棒の香り」は小学生の頃だと思いますので、入学式が連想されます。
「美しい名前」は自分の名前でしょう。「薄暮れ」は夕方の薄暗くなる時間のことです。
その薄暮れの頃に母親が自分を呼ぶ声が響いています。家に帰ると約束をした時間になっても帰らなかったのでしょう。
きっと、この後は母親から叱られますよね。大人になると、そのような思い出がとても愛おしく感じるものです。
このことから考えると、「鈍色の朝」に行われたのは母親の葬式なのではないかと思います。
相槌もでたらめ 柿色の夕 わがままに 迷惑かけたいわけじゃないのに
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
柿色は柿の実のように鮮やかなオレンジ色です。夕日に赤く染まった夕方の空を意味しているのでしょう。
ここでは、母親から怒られてでたらめに返事をしている子どもの様子が思い浮かびます。
子どもは夕方になってもまだ外で遊んでいたいわけで、「迷惑かけたいわけじゃない」ですよね。
年齢を重ねたら
年老う指輪は弛み 填めなおしてはまた弛み 瞳に黴が生えても 言葉に血の通った話がしたい
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
「指輪」といえば結婚式ですよね。ここでは結婚した後の様子が描かれているのでしょう。
そして、年齢を重ねて老人になっても、「血の通った」温もりを感じる話がしたいと言っています。
はじまりの歌詞の部分で子どもの時を思い出していた状態とは違い、ここからは自分の未来の姿を想像しているのだと思います。
先に呆けてしまえば 寂しくないかな 飯を口から零して テイブルを汚して にたついてる私を赦さないで
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
呆けてしまって相手が上手く話せなくなる前に、自分が呆けてしまえばそのようなさみしさを感じないのではないかという意味です。
「私を赦さないで」とはご飯をこぼしたりしても、そういうものだと許して欲しくないという想いが込められています。
今まで暮らしてきた自分とは違うものだと思わずに、イライラしたり怒ったりしても良いので「血の通った」話がしたいのでしょう。
相槌もでたらめ 雪色の夜 どうして 迷惑かけても笑ってるの
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
「雪色」は正しくは「せっしょく」と読み、雪景色や雪のような白をあらわします。
この雪色からは年老いて白くなった髪の毛を意味していると思います。呆けて「相槌もでたらめ」になっても、相手は笑っています。
そのような豊かな年齢の重ね方をしたいという想いが描かれているのではないでしょうか。
人は年をとっておだやかな夜を過ごし、いつかは「鈍色の朝」を迎えるのです。四季とともに巡る「命」もこの曲はあらわしているのでしょう。
「相槌もでたらめ」とサビの歌詞はほぼ同じにも関わらず、流れの中でまったく意味が異なっています。
朝から夜へと移り変わり、その時間軸とは別に時が流れるというのはとても味わい深い歌詞ですよね。
MVはこちら
『式』のMVは岡崎体育が監督を担当しています。定点カメラで日常の1ページを切り取ったような映像はこの曲のおだやかな歌詞やサウンドととても良く合っています。
『MUSIC VIDEO』なども同じですが、映像と楽曲が合わさることで岡崎体育がイメージする世界観が明確に表現できるのでしょう。
そういったことが、はっきりと感じられるMVだと思います。
まとめ
今回は、岡崎体育の『式』について紹介しました。岡崎体育の新たな一面を感じさせる深い歌詞とおだやかなサウンドが魅力の曲です。
この記事を読んで岡崎体育により興味を持った方は、ぜひ他の楽曲もチェックしてみてください。
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