透明な あいことば
出典: あいことば/作詞:絢香 作曲:絢香
合言葉とは、特定の相手にだけ分かるサインのような言葉を指します。
お互いしか知りえない合言葉を知っていれば、その人は自分の仲間なのだと判断できます。
そのためには、合言葉を声に出したりメモに書いたり、あるいは口パクをして、目や耳で伝え合う必要があります。
この曲では「透明」な合言葉。つまり目には見えませんし、聞こえません。
例え透明でも、必ず伝わる合言葉。それはお互いが強い絆で結ばれていて、信じ合っているからこそ可能になります。
そして「合言葉」ではなく「あいことば」、子どもでも理解できる平仮名で書かれています。
「透明なあいことば」は、互いを愛おしく思い合う母と娘の合言葉なのでしょう。
また「愛の言葉」と読み取ることもできます。
母から娘への愛の言葉は、口に出さずとも伝わるのかもしれません。
今宵は 旅支度を確かめる
出典: あいことば/作詞:絢香 作曲:絢香
母親は今まで少しずつ、旅の準備をしてきました。
必要なものを鞄に詰める準備ではなく、心の準備を指すのでしょう。
旅立ちに向けて支度を整えている中で、時には準備を投げ出したくなることもあったはずです。
それでも母親は、いつか必ず訪れる旅立ちに向けて準備を続けてきたのです。
その旅立ちは、娘が自分の元から離れていく意味と、娘から自分が離れていく意味の双方なのだと感じます。
旅立つ娘に執着するような母親ではなく、静かに見守ってあげられる人になりたかったのではないでしょうか。
旅の支度は整ったものの、いざその時を迎えたらどうなってしまうか、不安で仕方ありません。
だから母親は、今まで少しずつ積み重ねてきた旅支度をもう一度確かめ「大丈夫」と自らに言い聞かせたのでしょう。
脳死の娘から生命維持装置を取り外す前日。あるいは人工的な脳刺激を送る器械を止める前日。
どんなに念入りな心の準備をしても、簡単に受け入れられるものではありません。
結末を決めるのは誰なのか
諦めない 一人でも大丈夫
出典: あいことば/作詞:絢香 作曲:絢香
昨日まで元気に笑っていた我が子が突然命を落とすことを、誰も想像しません。
もしそんなことが起きたら、どんなにお金がかかっても助ける方法はないか、必死で探すでしょう。
この映画の母親も同じです。脳死と言われても、目の前の娘は呼吸をしている。だから生きている。
たとえ機械の力を借りているとしても、昨日ベッドで眠っていた娘の姿と何ら変わらないのです。
誰かに非難されるような方法でもいいから娘を助けたい。賛同者が得られなくても自分一人で大丈夫だと言います。
エピローグ 抱き寄せて離さない
出典: あいことば/作詞:絢香 作曲:絢香
「エピローグ」は結末のこと。
機械で生かされている娘の「死」を受け入れるかどうかの判断は、両親に委ねられます。
父親と母親が相反する決断をする可能性もあるのです。
娘の命の結末は誰にも決めさせない。母親はそう強く思っています。
結末は「透明なあいことば」を送り合える二人で決める、ということでしょう。
未来は終わらない
私はあなたと
ずっとずっと 未来を見ながら
永久に愛します
例え何があっても
出典: あいことば/作詞:絢香 作曲:絢香
もし娘の命の灯が消えたら、彼女の人生は終わってしまいます。
将来の夢を叶えることも、恋をすることもできません。
しかし母親は、そんなふうには考えていないのです。
万が一娘の人生が途切れてしまっても、娘が歩むはずだった未来を一緒に見るのだと言います。
きっと、娘と二人で歩む未来も見続けるのでしょう。
常に娘の存在をそばに感じ、今までと何も変わらず愛し続けると誓います。
もし母親自身の命が終わっても、愛し続けるのです。
生きる意味の正しさ
自分が考える「生きる意味」に不正解はありません。
しかし時に、矛盾が生じることがあるのです。