地球の回し方
「世界タービン」はP-MODELの活動休止中に発表されたソロシングル曲です。
また1990年に発売されたアルバム「サイエンスの幽霊」にも収録されています。
この楽曲の主題ともいえる「タービン」や地球との関係を探っていきましょう。
PV「世界タービン」
CGの使い方など当時の雰囲気がよくわかる映像です。
歌詞内容を探るためのヒントもあるようですね。
歌詞考察
「コア」の始まり
世界タービン タービン 世界タービン タービン
出典: 世界タービン/作詞:平沢進 作曲:平沢進
「タービン」は簡単にいうと機械を動かすための動力になる部分のことです。
そしてその動力部分を回転させることでエネルギーを発生させます。
その回転の主体になる物を暗示させた始まりではないでしょうか。
先ずここに出てくる「世界」とは私達の生きる「世界」ということで考察を進めていきます。
宇宙の中の奇跡の星に生まれた私達にとって地球は唯一の住みかです。
世界の喧騒
朝の風は凄まじく 幾万もの声を消す
通り過ぎる人波に 遠い秘境の景色重ねても
見えぬ空の秘密よ
出典: 世界タービン/作詞:平沢進 作曲:平沢進
一見したところ気忙しい日常を描いているようにも見えますし異国の風景を見ている様にも見えます。
爆発的に増えていく地球の人口がこの叙情的な描写をかき消して行くようですね。
そこで注目するのは強く吹き付ける風の様子です。
そこに宇宙の「秘密」は隠されています。
まず地球が生まれた頃に思いを巡らせてみましょう。
地球が生まれたのは約46億年前に遡ります。
そして宇宙から降り注ぐ沢山の隕石が地球を大きくしていったようです。
その時の隕石の衝撃によって煮えたぎる地球の周りにはやがて水蒸気が発生しそれが大気になりました。
その大気とは平沢進氏がいつも見つめる空のことですね。
空は地球を取り巻く宇宙や地球の環境を知る手掛かりとなる場所です。
回転するのは「キミ」
雨に灼けた往来で キミよ夢に何を見る
(あー だいじょうぶよ タービンが回るわ)
(あー だいじょうぶよ タービンが回るわ)
出典: 世界タービン/作詞:平沢進 作曲:平沢進
平沢進氏はよく「キミ」という言葉を使われますが、ここでは地球を表現する言葉として見て行きます。
地表を濡らす雨は古い記憶を洗い流し、新たな宇宙の記憶を刻むために訪れるのです。
「キミ」は地球として生まれ成長し時を刻むその先を創造することはできるのでしょうか?
そしてここで女性の声のコーラスが入ります。
その内容は自転する地球の軸を「タービン」に例えたものでしょう。
この曲のPVの中にも太陽の回りを公転しながら自転している地球の図がありましたね。
この地球の自転については先ほどの地球誕生の話とも関係しますが簡単に説明します。
宇宙の中の大きな隕石(惑星)にぶつかった時地球は少し傾いたまま回転を加速して行ったようです。
ボウリングの玉にカーブを加えるとスピンして思わぬ方向に転がるようなことですね。
摩擦を起こすじゃまな物が加わらなければ傾いたまま地球は回り続けるということです。
ではこの回転は止まることはないのでしょうか。
「心配ない」と言っているようですが?
一抹の不安はあるので少し予測を立ててみましょう。
もしも地球の自転が止まったら当然のことですが先ずは強風が起こります。
そして太陽からの恩恵をバランスよく受けることができなくなり最終的に強い放射能が降り続く…。
これはあくまで予測ですが、回り続けている限りは「大丈夫」ということでしょう。
不安の解決法
キミの歌にめくるめく 古い無音の稲妻で
出典: 世界タービン/作詞:平沢進 作曲:平沢進