逃げるのがいやで 無茶ぶりされ こらえてた頃
偶然という名の運命で出会った ヘンテコな女神
紐をほどいて 折り目伸ばして 気球を操って
広い空で遊ぶ術を 授けてくれた
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
「偶然という名の運命で出会った ヘンテコな女神」という歌詞からは、
「つぐみ」の「運命とか超えるほどありえない確率で巡り会えた」という歌詞が連想されますね。
「気球を操って」「 広い空で遊ぶ術を 授けてくれた」という歌詞からも、「つぐみ」の気球の写真のCDジャケット、そして、歌詞に出てくる、
「君」へ自分の命をかけて「愛」を伝えようとする「海原を渡っていく鳥のような心」が連想されます。
「逃げるのがいやで 無茶ぶりされ こらえてた頃」とあるので、「つぐみ」が出た2010年ごろを振り返ってみると、
スピッツにとっては何かの主題歌などタイアップ曲が続いている時期ですね。
2008年シングル「若葉」のカップリング「まもるくん」では「どんな役まわりもいただけるなら」、
「疲れ果てるまで演じてみるかな」という歌詞も登場しています。
もしかしたら、世間から与えられたスピッツのイメージという「役まわり」に疲れ、それでも「こらえてた」のかもしれませんね。
だとしたらそんな時期にできた「つぐみ」という曲は、「広い空で遊ぶ術」を授けた楽曲で、
のびのびと自分たちの音楽をできる打開策が見つかった曲だったということをこの歌詞は意味しているのかもしれません。
「紐をほどいて 折り目伸ばして」という歌詞からも雁字搦めになっていた状態から解き放たれたような印象を受けます。
人々の求めるイメージに支配されてしまえば優しくしてもらえる、それでも...
優しい被支配 痛みも同時に感じる
OKなカン違い 続けたらついに真実
信じていいかい? 泣いてもいいかい?
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
「優しい被支配 痛みも同時に感じる」という歌詞からは「若葉」の「優しい光に照らされながらあたり前のように歩いてた」という歌詞が浮かびます。
「若葉」で歌われた「優しい光」とは、義務教育という厳しい社会から守ってくれる「支配」でしょう。
既存の社会の掟から飛び出そうというような歌詞が多いスピッツの楽曲ですが、やはり、最初の歌詞に出てきた「習いに逆らった」という歌詞のように、
それに従えば優しくしてもらえる支配でも、その支配下に入ることは同時に「痛み」を感じることでもあると言っているのでしょう。
ここでは世間のスピッツのイメージがその支配に当たるのではないでしょうか。
しかし、ギリギリ「OKな」範囲でそのイメージから「カン違い」したフリで遠ざかり、
自分たちのしたいようにし続けたら、「ついに真実」に行き当たったと言っているのです。
「真実」とは、ここまでの歌詞に出てきた「太陽」であり、「君」であり、自分たちの理想とする音楽のことなのでしょう。
そうです、その音楽こそが「ヘビーメロウ」なのですね。
パンクだと言って発信すればパンクじゃないと言われ、ロックだと言って発信すれば求めているものじゃないと言われ、
ここまで歩んできたスピッツが理想を追い求めてたどり着いた音楽が、「ヘビーメロウ」。
それは、重厚感のある(ヘビー)で、今まで積み重ねてきた音楽があるからこそ奏でられる円熟した(メロウ)な音楽。
ヘビーメタルと聞き間違えられたというエピソードごと、このMVを採用したのは、2文字違うだけですが、ヘビーメタルじゃなくて、
「ヘビーメロウ」な音楽で、自分たちの攻撃性を出していくという意味もあったからではないでしょうか。
期待を裏切っても伝わると信じてこれからは自分たちの音楽を発信していく
夜は明けたぜ 鶏も鳴いたぜ 期待裏切る
なんちゃってファンキーなリズムに乗って 生命灯せ
君になりたい 赤い服 袖ひらめいて
確かな未来 いらないって言える幸せ
テレパシーみたい ゴメンもサンキューもすっとばして
信じていいかい? 泣いてもいいかい?
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
スピッツが彷徨い続けていた冷たい海のような「夜は明けた」。
そして、「鶏も鳴いたぜ」というスピッツの歌詞にはなかったような派手で騒々しいエネルギーに満ち溢れた朝の始まり。
それは「さらさら」で「朝が来るって信じてる」と信じて耐え続けてようやくきた夜明けだったのでしょう。
これからは自分たちが望む、「期待裏切る」 「なんちゃってファンキーなリズム」の音楽を生み出して、「生命」を灯す。
「孫悟空」の「胸に火を灯そう もがき続けてよう 初めてを探している」という歌詞にも繋がるかもしれません。
常に新鮮な気持ちで、もがき続け、自分たちも聴く人も心に火が灯るような音楽を奏でていきたいということです。
スピッツの「恋は夕暮れ」に「恋は届かない悲しきテレパシー」という歌詞が出てきますが、「テレパシーみたい」という言葉は、
届かないと諦めていた想いが今なら届く気がするというとてもポジティブな感情なのでしょう。
「ゴメンもサンキューもすっとばして」もう色々言わなくても伝わっていると、「 信じていいかい?」
そして、それほど嬉しいことはないから、「泣いてもいいかい?」と言っているのです。
スピッツ「ヘビーメロウ」のギターコード
「ヘビーメロウ」の歌詞を解釈しましたが、いかがでしたか?
スピッツの夜明けのような楽曲、弾き語りしたいと思った人も多いのではないでしょうか。
同じメロディーの部分は省略しますが、コード譜を掲載するので、ぜひ弾いてみてくださいね。
Aメロ
G Am Bm C
花は咲いたぜ それでもなぜ 凍えそうな胸
Em Bm C F D
ヘビーメロウなリズムに乗って 太陽目指した
G Am Bm C
嗤ってくれ 時代遅れ 俺も独りさ
Em Bm C F D
やめないで習いに逆らった この日のため
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
Bメロ
C Bm Em
君になりたい 赤い服 袖ひらめいて
C Bm Em
確かな未来 いらないって言える幸せ
Am D
信じていいかい? 泣いてもいいかい?
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
間奏
G/Am/Bm/C/ Em/Bm/C/F D/
出典: ヘビーメロウ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗