心に刺さる歌詞と、忘れられないメロディー
聴けば聴くほど好きになる
今回ご紹介する楽曲は、Awesome City Clubの『勿忘』です。
Awesome City Clubは、男性2人、女性1人で構成されている3人組バンド。
atagiさん、PORINさんの織りなすハーモニー、そしてモリシーさんの情感たっぷりのギターに引き込まれます。
男女のツインボーカルなので、2人の声が重なりあって、また離れていく。
独特な距離感のあるコーラス部分が、切ない男女の関係性を思わせるかのようです。
また、映画の制作スタッフが担当しているミュージックビデオも必見。
青い花が枯れていく描写など、映画の世界観にどっぷりと浸ってみてください。
物語の儚くも美しい世界観とリンク
『勿忘』は、映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソング。
同映画には、Awesome City ClubのPORINさんも出演されています。
映画が完成した後でできた曲、ということで、物語とリンクしているのがポイント。
メンバーが完成した作品を見て「曲を作りたい!」と映画のスタッフにお願いしたことがきっかけだそう。
鑑賞後の余韻に浸りながら聴くと、「ほろりと涙がつたってしまう」という声も多いです。
曲名の『勿忘(わすれな)』は勿忘草からきていて、花言葉は「私を忘れないで」「真実の愛」。
素敵な思いが込められていて、映画の世界観にぴったりです。
切ないラブソングですが、その先にある光が美しくじんわりと心を満たします。
美しい歌詞からは、菅田将暉さん演じる”麦”と、有村架純さん演じる”絹”。
2人の距離感や、それぞれの思い、すれ違う気持ちが感じられます。
映画の物語とともに、心温まる歌詞・メロディーに耳を傾けてみてください。
戻らない2人の日々
喜びも悲しみも記憶の中に
例えば今君が その瞳濡らしていたとしても
呼ぶ声はもう聞こえない
絵の具を溶かすように 君との日々は記憶の中 滲んでく
出典: 勿忘/作詞:atagi・PORIN 作曲:atagi
別々の道を歩むことになった2人。
共に過ごした、鮮やかで美しく、時に辛い日々を思い返します。
どんなに想っても、傍に寄り添ってあげることはできない。
思い返すほどに懐かしく、切ない気持ちがこみ上げてきます。
言葉にならないほどの悲しみも、記憶の色が重なって、そして滲んで。
時間の経過とともに、さまざまな色で塗り替えられていくのでしょう。
厚みを増していく絵の具の色は、まるで人生を表しているかのようです。
多くを求めれば多くを失う
何かを求めれば何かがこぼれ落ちてく
そんなこの世界で
出典: 勿忘/作詞:atagi・PORIN 作曲:atagi
「自分にとっての幸せとは?」
理想を追い求めることか、現実の中に居場所や安らぎを見つけることか。
時に心満たされるものを追い求めるあまり、周りが見えなくなってしまうことも。
ぶつかりながら必死で毎日を生きて、気付いた瞬間には、君の心は遠いところへ。
先の見えない不安やすれ違いから、少しずつお互いの心の距離が開いていきます。
多くを得ようとすると、その分失ってしまう。
この歌詞からは、繋ぎとめておこうと焦る気持ちや、崩れていく関係性を感じます。
大切なものを得るには、それ相応の覚悟が必要なのかもしれません。
希望の光を探して
春の風を待つあの花のように
君という光があるのなら
巡り巡る運命を超えて
咲かせるさ 愛の花を 花束を
出典: 勿忘/作詞:atagi・PORIN 作曲:atagi
心地よい風に誘われて、いつか2人はどこかで出会うかもしれません。
心を癒してくれる、温かな光のような君。
また会えたなら、その時はきっと、お互いの光になれるような関係性を築いていることでしょう。
そして、また笑い合える日が来るはず。
それまで、お互いの幸せを願って、温かい春を待ちます。
離れていても、そっと思い出して。
それぞれに訪れる新しい出会いや運命を辿り、その先で、きっと美しい花を咲かせるのです。