あの日のままにしておきたい思い出
好意を伝えるたった一言が言えなかった後悔が、再びよみがえってきました。
二人だけが知る甘酸っぱい思い出。
その思い出の中にいた人を忘れてはいません。
今ならあの時言えなかった思いが伝えられるかも…と思いました。
風景や親兄弟や友達に会うために帰る故郷。
その中でも一番会いたいのは五年前に隣りにいた人ですね。
切ない別れから五年の月日が流れています。経ってしまえば五年はあっという間。
おたがいが暮らす環境も、すっかり変わる年月が過ぎてしまいました。
相手のことを思うからこそ、歌の主人公は今すぐ帰ることはしません。
故郷の春の景色と同じ様に、青く澄んだままの思い出にしておきたい。
帰りたい会いたいという思いを、今は心に閉じ込めておきます。
千昌夫さんが「北国の春」の切なさポイントをしっとりと歌い上げました。
北の国に訪れた春が歌声となって、故郷を思う全ての人に届けられます。
故郷への思いは温かさをまとって
すぐそばの春も
山吹 朝霧 水車小屋
わらべ唄聞える 北国のあゝ北国の春
出典: 北国の春/作詞:いではく 作曲:遠藤実
庭木として植えられることが多い山吹(やまぶき)の花は黄色。
モノトーンの冬景色から早春へ、そしてもう一歩進んだ春を感じさせる花です。
山に囲まれた地域だから、朝は霧に包まれた風景が見られました。
凍っていた水が溶けて動き出す水車が回る音。
遥か遠くを見ていた目線を下げれば、そこは生まれ育った家の周囲の風景。
歌の主人公は思い出に浸りながら、止まったままだった時間を巻き戻しました。
子供時代を思い起こさせる“わらべ唄”。
待っていた春が来たことを唄った時間もあったのでしょう。
その時に一緒にいたのは家族です。
独り飲みも寂しくありません
あにきもおやじ似で 無口なふたりが
たまには酒でも 飲んでるだろか
あの故郷へ 帰ろかな帰ろかな
出典: 北国の春/作詞:いではく 作曲:遠藤実
歌詞は故郷の家で暮らす家族を描いています。
父と兄そして台所に立つ母の背中も、イメージすることができる歌詞。
暖かな部屋とそこにある温もりも歌詞には込められています。
仕事を終えた後に時には晩酌を楽しむ二人。
家族を思いながら歌の主人公も、今夜は独りで宅飲みですね。
故郷の家族も今夜はきっと飲んでいるでしょう。
母手作りの春の味は故郷で食べた時の味が、そのまま届きました。
少し濃いめの味は肴にピッタリ。故郷の家族もこれを肴に飲んでいるはずです。
春の風景と味、故郷の人たちの笑顔と子供時代の温もりは、今夜のお酒を美味しくしてくれました。
独りでも寂しくはありません。今夜は故郷がすぐそばにあります。
最後に
帰ろうと思えば帰ることができる故郷。
故郷で待つ人は「いつでも帰っておいで」と言ってくれます。
帰らない理由には、特にコレというものは無いのかもしれません。
忙しい毎日をこなす間に、帰るきっかけを失ってしまうこともあるのでしょう。
飛び続ける鳥に、羽を休める場所を提供する温かさを持つ「北国の春」。
身体や心がバテてしまう前に「北国の春」でリセットしてください。
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