【おやすみ、かみさま】とは
神山羊の2ndアルバムに収録
2018年にデビューしたシンガーソングライターの神山羊さん。
「有機酸」の名前で活躍していたボカロPでもあります。
そんな彼がリリースした2枚目のアルバム『ゆめみるこども』。
収録曲の名前をとって「CUT盤」「アイスクリーム盤」というユニークな限定盤もリリースされました。
今回はこのアルバムより【おやすみ、かみさま】をご紹介します。
MVのイラストはあの絵師が担当
ストーリー
この楽曲は自身を「僕」と呼ぶ主人公の物語。
僕は幼き頃より、ある重大な問題を抱えていました。
その問題とはいったい何なのか。そして問題を抱えつつ成長した僕はどんな大人になったのか。
さらに僕にとってのかみさまとはいったいどんな人だったのか。
これらの問題に触れながら、早速歌詞を読み解いていきましょう。
僕の心
気がつけなかったこと
泥だらけになった
小さな手で
涙を拭っていた
あなたの気持ちが
わからない僕で
本当によかったな
出典: おやすみ、かみさま/作詞:神山羊 作曲:神山羊
世の中にはおそらく、大きく分けて2タイプの人間がいるでしょう。
人の痛みに敏感でそれに共感できるタイプと、人の痛みに鈍感で全く共感できないタイプです。
実際は1人の人間がこの2つを持ち合わせていて、相手によって感じ方が変わることの方が多いかもしれません。
肝心の主人公はといえば、歌詞を見る限り鈍感なタイプのようです。
苦しんでいる人の姿を見ても、その気持ちを察することはありません。
さらにそんな自分を認めるような言葉も続きますから、どことなく薄情な印象も与えてしまうでしょう。
自分の心なら…?
穴だらけになった
いつかの夢は
気付けば中身が
溢れてしまって
僕のこの気持ちが
わからないなんて
本当に馬鹿だな
出典: おやすみ、かみさま/作詞:神山羊 作曲:神山羊
まるで他人の痛みには同情できないけれど、自分が感じている心の痛みには同情してほしいといわんばかり。
しかし本当にそうでしょうか。
視点を変えてみると、最後の行で「馬鹿だ」といっているその相手が僕自身だとも考えられるのです。
つまり僕は、普通なら僕自身が感じるであろう心の痛みにさえ気がついていないということ。
そしてそんな自分自身に対して呆れており、「馬鹿」だと貶しているということです。
もちろん心が強く、何かあっても常に前向きでいられるような人もいるでしょう。
しかし主人公はそういうタイプだとも思えないのです。ただただ、人の心の痛みに気がつけないだけでしょう。
歌詞にある通り、悔しくて泣いたり夢破れて絶望したり、そんな状況に直面しても僕はただ淡々と語るだけ。
この描写こそ、僕が心の痛みに気がつけていないことの何よりの証拠です。