『イイナヅケブルー』について
まず、Charisma.comの代表曲の1つである『イイナヅケブルー』の収録作品など、概要について紹介します。
Charisma.comってどんなユニット?
MCいつかとDJゴンチによるラップユニットが「Charisma.com」(カリスマ・ドットコム)です。
2011年にMCいつかが、中学・高校と部活が一緒だったDJゴンチに声をかけたことがきっかけで結成。
社会生活の中で感じる疑問・不満や女性に対する批判などを的確にえぐる鋭いリリックと、ダンサブルで軽快なサウンドが彼女たちの魅力です。
2013年7月にミニアルバム『アイアイシンドローム』をリリースし、現役OLユニットとして注目を集めます。
その波に乗り、2014年6月には初のフルアルバム『DIStopping』をリリースしました。
そして、2015年7月発売のミニアルバム『OLest』でメジャーデビューを果たします。
2016年に音楽活動が忙しくなり、ユニットの代名詞でもあった「現役OL」からの卒業を発表しました。
そんな彼女たちの辛辣なリリックとゴリゴリのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)サウンドが格好良い曲が『イイナヅケブルー』です。
アルバム『DiStopping』収録
『イイナヅケブルー』は、Charisma.com初のフルアルバム『DiStopping』の1曲目に収録されている曲です。
前作の『アイアイシンドローム』はOL目線で描かれた攻撃的な内容でした。
それとは対照的に、『DiStopping』はより多くの人の視点で描かれたバラエティ豊かな作品に仕上がっています。
このアルバムのテーマはずばり「社会VS自分」なのだそうです。
これまでの批判的なスタイルだけでなく、リスナーに寄り添うような楽曲を意図的に制作したとMCいつかは語っています。
家庭を守るお父さんがテーマの『Mr.BEER』や、恋愛でもがく人への応援ソング『チャンコイ』などを聴くとその意図が良く強く感じられます。
それと合わせて、2014PARCO WHITEDAYのキャンペーンソングに採用された『ハッピーターン』も必聴です。
歌詞の意味を解釈
次に、『イイナヅケブルー』の気になる歌詞の意味に迫りたいと思います。
ハートが裂けてしまう
ファイトマネー迷子エゴサーチ 若干影響もらいすぎだから
毎回ゴマすり目眩good night Boys and girls do it not why?
ダサいのなんの二の舞 耐えてあえて涙枯れて裂けてハート
まっ黒なcaution 中指閉じたってもBad all
出典: イイナヅケブルー/作詞:いつか 作曲:守尾崇・いつか
会社などで働いているとやりたくもない「ゴマすり」をしてしまう時はありますよね。そんな自分自身に「目眩」がして、クラクラしているのでしょう。
「ダサい」と思いながらも、必死で耐えた挙句に「ハート」は裂けてしまいます。
そのような生活の中で「まっ黒な」感情が高まり、中指を立てたいほど最悪だと感じているのです。
しかし、実際には立てていないところが、切ないですよね。
直感で反抗!でも
すぐ変えられはしない輪 直感で反骨
ナイフをかんざしに仕留める 些細な言葉皮切りに
やっと最初で最後 わかってないよ 怒った代償 内緒で埋葬
出典: イイナヅケブルー/作詞:いつか 作曲:守尾崇・いつか
会社でできたグループなどの「輪」は、そう簡単には変わりません。
そんな「輪」に対して、今まで必死に耐えてきたのに思わず「直感で反骨」してしまいます。「ナイフをかんざしに」は必殺仕事人のイメージでしょうか。
しかし、怒った挙句にその代償は「内緒で埋葬」しています。反骨心を見せたのに、結果的になかったことにするのは格好悪いですね。
アブラカタブラで神頼み
シャカイノ犬 何でもできる そんなために生まれたわけじゃない
あれよあれよ 荒れろ荒れろ あれもこれも それをやれよ
あれよあれよ それはやだよ あんた誰よ それはやめろ
どうしようもないくらい くだらない のに調子いい
なんもしないで神頼み アブラカタブラ
出典: イイナヅケブルー/作詞:いつか 作曲:守尾崇・いつか
「シャカイノ犬」はそのまま社会の犬のことです。社会に飼われている存在という意味ですね。
そんな「犬」になるために誰も生まれてきたわけではありません。
「やだよ」「やめろ」とくだらないノリで言っていたら、調子が出てきたのでしょう。調子が出たところで、現実は変わりません。
最終的には神頼みです。アブラカタブラは世界中で使われていて、「魔よけの呪文」の他にも「ちんぷんかんぷん」という意味もあります。
MCいつかの言葉選びのセンスの良さが垣間見えますね。