L'Arc~en~Ciel『winter fall』のカップリング
1991年の結成以来、常に邦ロックシーンの第一線で活躍し続けてきたL'Arc~en~Ciel。
個々がソロ活動できるほどのスキルの高さを備えていることはもちろん、4人集まった時の迫力は圧倒的です。
そんな彼らが1998年、8枚目にリリースしたシングルが『winter fall』。
このCDに収録されている『metropolis』は、カップリングながらライブでもよく演奏される人気曲です。
軽めなサウンドと軽めなリズムでポップなノリを出している反面、メロディは非常に情緒的な本楽曲。
可愛らしく耳馴染みがよいリズムと、L'Arc~en~Cielらしいメロディアスな展開のバランスが絶妙です。
人間×アンドロイド
この楽曲は、1927年公開のモノクロサイレント映画「メトロポリス」をテーマに作られました。
映画ではアンドロイドが非常に重要な意味を持っていますが、この楽曲でもアンドロイドは重要な存在。
映画では主人公の恋人にそっくりなアンドロイドが登場し、人々を混乱させる様子も描かれています。
この楽曲では少々異なり、人間に恋心を抱き始めたアンドロイドの心模様を表現しているのです。
相容れないように見える両者がどのように心を通わせていくのか。そして結局2人は結ばれるのか。
SF映画のような恋物語を存分にお楽しみください。
眠りに興味津々なアンドロイド
煌めく夜空の下
アンドロイドの眠りをさまたげないで
愛を見てみたくて
幾千の星降る夜空の下で踊りつづけている
出典: metropolis/作詞:hyde 作曲:ken
様々な技術が発展してきた現代において、アンドロイドという言葉は比較的耳なじみがあるかと思います。
あなたも、1度くらいは聞いたことがあるかもしれませんね。
ほかにもロボットやサイボーグ、ヒューマノイドなど、似た言葉と混同している人もいるでしょう。
アンドロイドとは、外見だけでは区別がつかないほど人間によく似た人造人間のことを指します。
アンドロイドがただの機械人間でないのは、それが人間の感情を理解できるということでしょう。
人間と同じように様々な感情を理解し、同じように抱き、過ごしているのがアンドロイドなのです。
そんなアンドロイドですが、残念ながらすべてを人間と同じようにこなすことはできません。
なぜなら感情を理解できたとしても、脳みそは同じように機能していないからです。
つまり人間が夜寝ているときに当たり前のように見ている夢も、アンドロイドにとっては無縁ということ。
アンドロイドは人間の感情を理解していますから、夢を見ることに憧れを抱きます。
夢って何だろう…。見るとどんな気分なんだろう…。興味は尽きません。
だから1~2行目の通り、夢を見られるまで睡眠を邪魔しないでほしいと懇願しているのでしょう。
そしてそこに続く3行目は、おそらく比喩表現です。
星々が美しく輝く夜空を見ることもなく、その下で眠り続けているアンドロイド。
傍から見ればただ眠っているだけのように思えますが、当のアンドロイドは夢に夢をみています。
とても楽しい気持ちで寝ているに違いありません。だからこそ「踊っている」という表現なのでしょう。
揺れ動く恋心
愛を求めるアンドロイド
みだらに求めあう
堕ちゆく摩天楼
舌先しめらせて
妖しくあえいだ
出典: metropolis/作詞:hyde 作曲:ken
なかなかに直接的で、ある意味hydeさんらしいともいえそうな表現が並んでいます。
それでも卑猥にならずむしろ妖艶さを感じさせるのは、その言葉の配列やチョイスのセンスでしょう。
人間同士、愛し合っていると心だけの繋がりにとどまらず、肉体的な繋がりを求めるようになるものです。
より深い部分で繋がり合うような感覚。それを求めるのは、至極当然のことでしょう。
人間に対して深い感情を抱いたアンドロイド。
ここでは人間と同じように、そんな深い繋がりを求めて身体を重ねている様子が描かれています。
恋するアンドロイド
どうにかして近づきたい
アンドロイドの眠りをさまたげないで
夢を見たくて 造られた心を重ね合わせる
嘘でもいかせてみて
出典: metropolis/作詞:hyde 作曲:ken