全く平気でないから平気という言葉を使う。
これは強がるときのセオリーではないでしょうか。
言葉を自分に向けることで、自分は平気であるという暗示をかけるのです。
そしてその先には、明るい夢の世界が待っていると信じることにしました。
泣くだけ泣いたので、もう涙も残っていません。
悲しみにくれた分、夢の扉のすぐ近くまで辿り着いています。
あとは自分がどうするかを決めるだけなのです。
悩んでいてはダメだよ、の"いけない"ではありません。
"行けない"、つまり悩んでばかりいては前に進むことができないよ、の意味なのです。
なのでとりあえず前に進んでみようと思い始めたのでしょう。
過去を清算する決意が固まったことを垣間見ることができます。
誰に約束したのか
今度 悲しみが来ても 友達迎える様に微笑うわ
…きっと 約束よ
出典: 悲しみよこんにちは/作詞:森雪之丞 作曲:玉置浩二
もしまた悲しい出来事が起きても、もっと強くなれている自分がいるから大丈夫。
そんな強い意志の表れを感じます。
ここでの注目は、悲しみに対して微笑うと言っていることです。
真逆の意味の言葉は、ちょっと不気味な感じさえしますが、それほど彼女の決意は固いということでしょう。
そしてこの約束は自分に対しての約束なのです。
すぐ弱気になって後戻りしそうになる自分に打ち勝つための、精一杯の手段なんですね。
2番を考察
花びらの囁きとは
降りそそぐ花びらが
髪に肩に ひ・ら・ひ・ら ささやくの
出典: 悲しみよこんにちは/作詞:森雪之丞 作曲:玉置浩二
降るほどの花びらといえば、桜をまず思い浮かべます。
桜をバックにした、卒業シーズンにまつわる出来事と捉えることもできそうです。
そうなるとふたりは同級生、もしくは先輩後輩の間柄なのかもしれません。
大人になるにつれ、ふたりの進む道が段々違ってきたのでしょう。
そして卒業をきっかけに、ふたりの別れが決定的になってしまった。
ひらひら舞い散る花びらは、一体どんな言葉を囁いたのでしょうか。
次にそのヒントがあります。
別れはやってくるもの
出逢いと同じ数の
別れがあるのね あなたのせいじゃな
出典: 悲しみよこんにちは/作詞:森雪之丞 作曲:玉置浩二
花びらは彼女に別れの言葉を囁いたのでしょう。
"あなた"から別れの言葉を告げられそうな予感は、以前から何となくしていたのです。
季節がめぐり花びらが散る景色を見たとき、とうとうその時がきてしまったと悟ったのかもしれません。
直接"あなた"からの言葉を聞かずとも、別れを受け入れなければならない時がきました。
ただ悲しいけれど覚悟もしていたのです。
出会いと別れはひとセットであるからと、自分を納得させるための準備はしていました。
"あなた"を悪者にしたくないという、彼女の優しさが感じられます。
元気があれば
想い出 あふれだしても
私の元気 負けないで
出典: 悲しみよこんにちは/作詞:森雪之丞 作曲:玉置浩二
あふれるほどの想い出が、このふたりにはあったことがうかがえます。
想い出が多いほど別れはつらいものです。
悲しみから立ち直るには相当の時間がかかることでしょう。
でも彼女には、立ち直るための力が残っている自信がないのです。
それでも過去を清算するためには、自身で自分を奮い立たせるしかありません。
元気を出すこと、シンプルだけどそれが悲しみを受け入れるための第一歩なのです。