斉藤由貴【悲しみよこんにちは】歌詞の意味を考察！花びらはどんな言葉を囁くの？過去を清算する決意に迫る

胸や心の隙間に忍び込むといえば、大抵悪いものを想像します。

しかし本曲では幸せが忍び込んでくるのです。

強がる気持ちがそう言わせているのでしょうか。

いいえ違います。

やっと前を向いて、ポジティブな考えができるようになってきたことの表れでしょう。

悲しみには2種類あります。

予測できた悲しみと突然やってくる悲しみ。

大抵の場合、残念なことに後者、つまり突然やってくる悲しみのほうが多いのではないでしょうか。

更には人に与えるダメージや悲しみの深さも、不意に起こった悲しみのほうが強いでしょう。

多分彼女の場合も、全く予想もしていなかった悲しみが襲ってきてしまったのです。

どんなことでも、一度経験をすると二度目への対策、心の準備はできます。

誰だって悲しみと仲良くなんてなりたくありません。

ただ彼女は今回のことで相当のダメージをおってしまいました。

だからこそ、その苦い経験を無駄にはしたくないのです。

色んなことを学習し成長した自分がいるから、悲しみをうまく受け入れることができるんだと宣言したいのでしょう。

悲しみなんかに負けない自信を備え、少し大人になった彼女がいるようです。

1番のサビの繰り返しですが、実は1か所だけ違う歌詞があるのです。

1番では"悲しみが来ても"と悲しみを迎え入れることを宣言しています。

しかしここでは、何を迎え入れるのかが、ハッキリ歌われていません。

それも1番のように、ただ迎えるのではなく、優しく迎え入れるとなっています。

ただ、前のフレーズで悲しみと仲良くなってみせる、という、ちょっとあれ？と思うような表現がありました。

なのでその続きと考え、ここでも悲しみを、それも優しく迎え入れるととらえてもいいかもしれません。

しかし歌が進むにつれ、段々前を向けるようになってきている彼女の姿が感じられます。

そのためここでは、新しい自分や未来を迎え入れると解釈してもよさそうです。

悲しみのためにずっと長い間自分の殻に閉じこもっていた。

でもそろそろ、そういう自分はやめにして、新しい未来に向かって一歩を踏み出そうとしているのでしょう。

【悲しみよこんにちは】というタイトルから、仏の作家フランソワーズ・サガンの小説を思い浮かべる方もいるでしょう。

本曲の作詞家森雪之丞さんが、どこまで小説を意識してこの歌を作詞したかはわかりません。

ただ両方の作品に共通しているのは、初めて大きな悲しみに出会った女の子がどのようにその悲しみを捉えたのか。

そして、どうやって乗り越えようとしているのかが描かれているということです。

本曲では、ひとりの少女の心の葛藤を、短い歌の中に、小説に負けないくらい見事に表現していましたね。

作曲者である玉置浩二さんは【悲しみにさよなら】というタイトルで曲をリリースしています。

本曲とは真逆のタイトル曲を紐解いてみるのもおもしろいですよ。