主人公にとって「君」が魔法使いなら、主人公はその魔法にかけられていてもおかしくありません。
もっとも、相手が魔法をかけている自覚があるかどうかは別です。
魔法にかけられているからこそ、二人のこの関係があるように思えます。
この手に気付いて
この手を伸ばすことが君らしい仕草に見える
いつかは気づくだろう まるでマジックのように
出典: マジック/作詞:上野皓平・松原有志 作曲:上野皓平・松原有志
ここでも意味を考えさせられる歌詞が続きます。
「君」はあまり遠くに行くことができないようでした。
歩けない代わりに、手を伸ばしているのでしょうか。
主人公はだんだんそんな姿に慣れてきて、相手を象徴する「仕草」のようになっていったのかもしれません。
大切な人の仕草なら、愛おしいとも思える筈です。
それにしても、誰が何に気付くのでしょうか。
「仕草」から「君」らしさを感じさせる理由?
気付くのは主人公のようにも思えますし、「君」とも考えられます。
いつか魔法のように、するすると解き明かされていくのでしょう。
解けない魔法
ありふれた君を抱きしめて
何度も声を聴いたような気がしてるけれど
今も魔法は解けない
いつでもかけがえないもの 当たり前のこと
出典: マジック/作詞:上野皓平・松原有志 作曲:上野皓平・松原有志
前半2文は曲の冒頭でも登場します。
サビと歌詞は共通しているので、ここで紹介しましょう。
主人公には大切で特別な人でも、世間一般から見れば必ずしもその人は特別とは限りません。
何も変わったところがない「普通の人」という可能性は大いにあるのです。
というよりも、実際はその方が多いでしょう。
逆にいえばたとえ他の人から見ればどこにでもいる普通の人でも、主人公にとっては特別に映っている。
いってしまえば、これこそが「君」の正体なのではないでしょうか。
「君」は普通の人なのです。
主人公からすれば特別な人に早変わり。
特別に見えているのも、魔法がかかっているからと考えられます。
「君」が本来は「普通の人」なのは当然のことですし、主人公には普通ではなく特別に見えるのも当然なのです。
どれだけ相手の声を聞いても飽きることはありません。
ありふれていて特別な人
世間から見ればなんてことはなくても、特定の人にとっては特別。
誰だってそんな風に相手を見ますし、また相手からも見られます。
立場や関係が違うだけで、普通か特別かなど変わるのです。
世界で一番君が好き
世の中の全てより君のその姿が好きさ
懐かしい声がする まるでマジックのように
出典: マジック/作詞:上野皓平・松原有志 作曲:上野皓平・松原有志
「世界の何よりも君が好き」という気持ちがダイレクトに伝わります。
相手に直接伝えているというよりは、心の中で呟いている印象です。
前の歌詞でも「隠そう」となっていましたし、主人公の心情をそのまま表したセリフだと考えられます。
世界中にあるどんな人・モノでも主人公には目ではありません。
本当に好きな人や大切な存在ができたとき、多くの人が感じるようになることではないでしょうか。
そう感じさせることもまた、「マジック」の効力の一つと思われます。
魔法
ありふれた君を抱きしめて
何度も声を聴いたような気がしてるけれど
いつか魔法に気づいて
変わらない君がそこにいても まだ隠しておこう
出典: マジック/作詞:上野皓平・松原有志 作曲:上野皓平・松原有志
この先、相手は自分が魔法をかけていたことに気が付く時が来るかもしれません。
お互いを愛し合うこの関係性は、トリックだと分かれば同時に冷めてしまうものなのでしょうか。
あどけない「君」なら、全く変わらずにいてくれるような気もします。
恋の魔法が解けてしまっても、主人公を好きでいてくれる気持ちは変わらないかもしれません。
たとえ実際解けたとして相手が何も変わらなくても、主人公はまだ想いをひた隠しにするようです。
何故そこまで頑なに隠そうとしているのでしょうか。
それは簡単に言葉にはできない、大きくて深い愛情だからだと感じられます。