愛してよ ねぇ愛してよ 愛してよ ブルウに
愛してよ ねぇ愛してよ 深く壊して

駄々 ソファーに 抜け殻を 一枚ずつ乱暴にお願い
理由その他 後付 急ぐべきよ 非常に結構

出典: 蜜指~ミツユビ~/作詞:マオ 作曲:しんぢ

「愛してよ」と何度も繰り返すところに、狂気を感じるこの歌詞

ブルウに愛してほしいというのは、どういう意味なのでしょう?

「ブルウ」は恐らく「ブルー」、つまり憂鬱のこと。

どうやら主人公は、気が滅入るほどの愛情を望んでいるようです。

「もういらない」と思うまで、相手からの愛がほしい。

いっそ相手から注がれた愛で、この体が壊れてしまえばいいのに。

そんな歪んだ願望が感じられます。

また「駄々~」からの歌詞では、目眩がするほど扇情的(せんじょうてき)な光景が歌われていますね。

我が儘に乱暴に、ソファーの上で愛しあおう。

自分たちが愛しあうことの意味は後付けで構わない。

「急ぐべきよ」は、理由を探すことではなく、愛を確かめ合うことを急かしている歌詞なのかもしれません。

理性を失くしてしまった

2番に入ると、愛はさらに濃いものへと変化していきます。

全身がドロドロになっていくような快楽に溺れ、もはや理性など微塵も残っていない様子。

狂気的な愛は、人を人でない何かに変えてしまうようです。

自分の欲望が最優先

浴槽内 醜態と泡 入り乱れたら ハイに愛撫
それを恥ずべき頃と 言うなら 持ち合わせは御座いません

出典: 蜜指~ミツユビ~/作詞:マオ 作曲:しんぢ

ここの歌詞で2人が愛しあう場所は浴槽の中。

そこでは「醜態と泡」がぐちゃぐちゃにかき混ぜられています。

そんな異常な光景を見て、主人公のテンションはハイに……。

愛の営みはさらに激しさを増した様子です。

しかし、主人公はそれを恥ずかしいことだとは考えていません。

もし相手が羞恥を抱いていたとしても、主人公は自分の考えを何も変えたりはしないでしょう。

相手に散々尽くしておきながら、やはり最優先事項は自分の欲望を満たすこと。

そんな自分勝手とも思える感情が「持ち合わせは御座いません」に込められているのだと思います。

お仕置きはご褒美

交流 親睦 お好きなネイミングで下してよ
二回表の開始 お行儀良く お仕置き待機 出来ません

出典: 蜜指~ミツユビ~/作詞:マオ 作曲:しんぢ

自分たちがしている行為。それに名前をつけたいなら、好きにつけてくれて構わない。

もっと深く愛を確かめ合うために「二回表」が始まります。

つまり、一回だけでは欲求が満たされなかったということです。

こんな自分勝手なことばかりしていたら、相手に「お仕置き」されてしまうかも。

しかし、それさえも主人公にとっては、待ちきれないご褒美でしかない様子。

こういった若干変態チックな欲望も、愛の深さ故なのでしょうか?

欲望は永遠に満たされない

主人公の狂気的な愛は最後までぶれることがありません。

むしろ、どんどんエスカレートしていっているような気も……。

主人公が抱えている底なしの欲望は、きっと永遠に満たされないでしょう。

逃げられないように...

愛してよ ねぇ愛してよ 愛してよ メロウに
愛してよ ねぇ愛してよ ひどく溶かして

漏れた音 掻き集め 湿度を楽しむ 余裕と爪
天井に近づけば 褒美 差出人 残さず
そっと常温で 戴こうかしら 権利受け渡し
胸元点して 済印請う 三つ指ついて

出典: 蜜指~ミツユビ~/作詞:マオ 作曲:しんぢ

1番では「ブルウに愛してほしい」だったのが、2番では「メロウに愛してほしい」に変わります。

「メロウ」とは、熟した果実の匂いや甘みのこと。

腐る寸前の果実というのは、妙に甘ったるい匂いを放ちます。

自分たちも、そんな匂いを放つまで深く混ざり合ってしまいたい。

それが「メロウに愛してほしい」の意味なのではないでしょうか?

続く「濡れた音~」の歌詞からは、また刺激的且つ官能的な光景が広がっていますね。

「湿度を楽しむ」ということは、2人はまだ浴槽の中で愛しあっているのでしょう。

せっかくご褒美をもらえても、相手は自分の中に何も残してくれません。

それなら自ら己の権利を受け渡し、無理やりにでも相手のものになってしまおう。

「済印請う」や「三つ指ついて」など、相手を逃がさないという姿勢がより強くなっています。

『蜜指~ミツユビ~』に込められた意味