「もっと思ってること口に出せばよかったのに」なんて
離れてゆく心が見えながら
「会いたい」なんて言えるわけないだろ
どうにかなってしまいそうで
もうどうにでもなれとも思えてきて
繰り返されることはもうない
キスも、愛も、君も、
出典: ホワイトアウト/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
彼女の心の中には他の誰かがいる…。
今まで自分だけのものだと思っていたスキンシップや愛情も、もう手にすることはできない。
突然ブツリと途絶えてしまった幸せに立ちつくしています。
彼女の気持ちが薄れていることに、心の奥では気づいていたようです。
でも、彼にはどうすることもできなかったみたい。
いつしか彼女へ自分の愛情を伝えることをも避けていたようです。
そんなことをすれば逆効果だと分かっているのに…現実逃避するように目を背けてしまったのでしょう。
必死に別れを回避しようとするも…
すがりつくことしかできない
「お願いだからどこにもいかないで」
そんなことしか言えず
しまいには君にすがりついて
大きな声で泣き出す始末
ふたりで過ごした時が今
君の新しいその誰へと
出会うための時間に代わっていってしまう
出典: ホワイトアウト/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
別れを切り出した彼女に主人公はすがりつきます。
我を失って取り乱している様子が歌詞からうかがえますね。
自分にだけ向けられていると思っていた彼女の時間。
それが、他の人のものになってしまう。
それだけはどうしても受け入れられないのでしょう。
しかし彼女の中で積み重ねてきた「別れ」への想いが頂点に達している今、彼の叫びは意味を成しません。
「負け惜しみ」にも似た状況。
正直、筆者はこの歌詞に凄く共感しました。
「別れ」が迫っていることに気づき必死に挽回しようとする…。
失恋を経験したことのある人は、リアルに感じられる心情なのではないでしょうか?
別れを告げたことのある人も味わったことのある光景かもしれません。
「今さら遅い」と思う彼女と「別れだけは回避したい」と思う主人公。
大きくすれ違っている印象を受けますね。
受け入れられない
前と同じ駐車場
ケンカもしたし抱き合った日常
「好きな人」は悲しみの二乗
勝手に思っていた「ずっと一緒」
昨日あったことを今日も話そう
たわいもない日々をもっと過ごそう
目の前が白く染まってゆく
出典: ホワイトアウト/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
2人の思い出の場所に車を止めて考えに浸っているようですね。
ここでいう「二乗」とは、「別れ」と「彼女の気移り」のダブルコンボでショックを受けているという意味でしょう。
主人公の中でこんな展開は予想できていなかったようです。
タイトルである「ホワイトアウト」は雪や雲で視界が真っ白になった状態のこと。
彼の頭の中は真っ白になり、目の前の景色すら認識できなくなってしまったのだと思います。
おそらく「現実を受け入れると精神が崩壊しそう」だから、自分を守るために感覚が麻痺してしまったのでしょう。
失恋で深く傷ついた時は注意力が散漫になってしまいますね。
何だかぼーっとしてしまったりすることも。
失恋のショックをとても鮮明に表現しているといえるでしょう。
どうしようもない現実
自暴自棄になりながらも受け入れる他ない
どうにかなってしまいそうで
もうどうにでもなれとも思えてきて
繰り返されることはもうない
キスも、愛も、君も、
どうにもならなくなってゆく
どうにかしたくてもすでに遅くて
繰り返されることはもうない
あの日も、笑顔も、僕も、
キスも、愛も、君も、
出典: ホワイトアウト/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
気が狂ってしまいそうで、自暴自棄になっている前半のフレーズ。
でもこの自暴自棄は本心ではないはず。
この辛い現実から抜け出すために「どうにでもなれ」という思考に至っているのだと思います。
そして後半では、何とかしたいのに力が及ばない現実への絶望感が表現されていますね。
もう手遅れになってしまったと悟り、深い悲しみに堕ちていきます。
巡り巡った葛藤は「やむなく受け入れる」という形で終わりを迎えました。
「別れ」を切り出された側は、どんなに心が引き裂けそうでも受け入れる他ないのが実情ですね…。
特に今回のように他に好きな人がいるのであれば、どうすることもできないでしょう。
最後に
リアルで痛烈な失恋ソング「ホワイトアウト」はいかがでしたか?
聴きやすいクリアな声と、センチメンタルな歌詞がとてもマッチしていましたね。
言葉の世界観を際立てる抑揚のある演奏も素敵でした。
男女ともに共感する部分の多い内容だったのではないでしょうか。
「別れ」には様々な種類がありますが、振られた側は絶望的な気持ちになってしまうもの。
失恋した直後にこの楽曲を聞くと自分の気持ちを代弁してくれているような気持ちになれるかもしれませんね!