(女)さよならいわせる時間をとめて
(男)ごめんよ おまえに幸せやれず
出典: ふたりの大阪/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
過去の思い出に浸っていた二人は、再び現実に戻ります。
“さよなら”の言葉がきっと最後の瞬間なのでしょう。
このまま時が止まればよいのに…。
女性はかなわぬ夢を思います。
こんな時の男性は、謝る以外にできることがありませんね。
お決まりのセリフですが、男女交互に歌うことによって最後の瞬間を際立たせています。
3番展開部分
(女)誰にも負けない愛なのに
(男)夜明けが静かに幕をひく
出典: ふたりの大阪/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
障害が多ければ多いほど燃え上がるのが恋の定め。
でも、よほど男性のことが好きだったのですね。
“誰にも負けない…”というセリフは男性に尽くした女性の強い思いが込められています。
それに比べて、薄情なくらいあっさりと時間が過ぎてゆきます。
この当時は深夜規制がさほどうるさくなかった時代です。
それでも、ナイトクラブならAM3:00には確実に閉店していたはずです。
夜明けが来るまでとは、また別の意味が含まれているようですね(意味深)!
3番サビ前
(女)残り
(男)わずかな
(男女)この恋を
出典: ふたりの大阪/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
最後の最後で“恋”というセリフが出てきます。
大人の恋ですから、そこは皆さんの想像にお任せいたします(笑)。
さらに、残り時間がもうないことを強調して歌をクライマックスに導きます。
3番サビから終わり
(男女)ああ抱きしめて ふたりの大阪
(男女)ラスト・ダンス
出典: ふたりの大阪/作詞:吉岡治 作曲:市川昭介
最後にもう一度抱きしめてと、女性からお願いしているようにも聞こえるセリフです。
韻を踏んでの“ラスト・ダンス”ですが、もっと深い意味があるようですね。
大人の恋ですから!
「ふたりの大阪」は、1番が8行と非常に短くまとめられています。
これを3番まで繰り返す手法はムード歌謡の常とう手段。
さらに、中ダレせずに二人がどういう関係だったのかを的確に表現した歌詞。
さすがは「吉岡治」です!
まるで漢文の律詩のように一文字一文字が意味をなしていますね。
カラオケ人気の秘密に迫る!
「ふたりの大阪」はなぜカラオケデュエット曲のロングセラーになったのでしょうか?
これには2つの理由があります。
ロングセラーの秘密①
第1の秘密は「市川昭介」の作曲術にあります。
まず歌いだしが拍子の表から始まっているため、歌いだしがわかりやすいのです。
つまり1,2,3,4、ジャ~ン。
という風に歌いだすわけです。
当時の男性はそんなに歌うことに慣れていませんので、歌いやすさが大切です。
さらに、歌いだしが女性からです。
続いて歌う男性は、音程もリズムも続きから入るので非常に楽に歌いだしができます。
今も昔もそんなに変わりませんが、女の人の方が歌に慣れていて物おじしないように思われます。
基本的に、女性→男性の順になっていますので、男性にとっては安心感があります。
女性が常にリードしているので、多少間違っても元に戻してもらえるのです。
サビもラストもユニゾンですから、絶対の安心感!
これが「市川昭介」の作曲術です!