自分の数多くの欠点を見つける彼女。
彼女に対して自分はもはや無関心のような表現がここまで多くありました。
しかし、この歌詞から彼女はしっかり自分のことを見てくれているということが伝わるのではないでしょうか。
そして歌詞の2行目。
自分の行動に反省しはじめたときに、さりげなく彼女に質問したのでしょう。
これまで当たり前のように自分のそばに彼女がいてくれることに、不意に疑問を感じたのかもしれません。
彼女の気持ちを確かめるという意味も含まれているのではないでしょうか。
そんな自分からの質問に対する彼女の反応は、自分にさまざまなことを気がつかせました。
歌詞の4行目にある「そんなこと」という言葉が、彼女の愛情を感じさせます。
数々ある自分の欠点は、彼女にとっては「そんなこと」と言えてしまうほどどうでもよいことなのです。
ダメな部分も含めて自分を愛してくれているということがわかります。
歌詞の6行目の「自分も」という言葉から、彼女は主人公もそう思っているのではないかと考えているのです。
彼女は自分自身でダメな部分があることに気がついています。
しかし、それでも愛してくれているという自覚があるのです。
変わっていく考え
愛すること
一人では感じられなかった気持ちが
僕の中で実る
君の言葉で実る
出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
今まで自分は自己中心的な愛し方をしている、自分の不安を埋めるために彼女と一緒にいると思っていました。
しかし彼女の言葉で、愛するということがどういうことなのかに気がついたのです。
そして、自分が本当に彼女を愛していることにも気がついたのではないでしょうか。
この彼女の言葉がなければ、この気持ちに気がつくことはできなかった。
自分の中でその「愛する」という感情が生まれたのです。
君と二人で
高い場所に実を付けた
桃に手が届くように
君を抱き上げることが
幸せだと僕は気づく
今までどんなに知りたくても
知ることのできなかったことを
一つ一つあきらめずに
僕は君と知っていく
出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
そしてついに「幸せ」がどんなことなのかに気がつきます。
先ほどは彼女が桃を収穫することに気づきもせず、手も差し伸べていませんでした。
しかし、一緒に桃を収穫できるように協力することが本当の幸せだと知るのです。
自分がとても成長していることが伝わってくるのではないでしょうか。
二人で何かを乗り越えること、協力すること、それが自分と彼女にとっての幸せなのです。
このことは、一人では絶対に知り得ることができない幸せ。
二人で何かをしなければ気がつくことができないのです。
そして歌詞の8行目。
とてもストレートな言葉で気持ちが表現されています。
はっきりした心の気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。
「君と」という言葉が入ることによって、相手を限定していることがわかります。
君とだからこそ、こんな僕でも幸せを知ることができる。
自分なりのストレートな愛情表現かもしれません。
本当の幸せ
強まる桃の香り
一人占めすればいいのに
地面に足をつけた君は
一緒に食べようと笑うから
桃はもっともっと甘く香る
出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
協力して桃を収穫できた二人。
自分は彼女を抱えているため、桃をゲットしたのは彼女。
しかし彼女は、その桃を自分だけでなく二人で分けあおうとするのです。
二人で協力して手に入れた幸せを二人で分けあうのです。
他人を愛するということがどのようなことなのか、この歌詞から理解することができます。
そして歌詞の4行目。
この最後の一文では、これまでの歌詞とは異なり、とても詩のような雰囲気があります。
これまではとても想像がしやすい表現ばかりでしたが、この最後の歌詞は比喩になっているのです。
曲の最後に何かを考えさせるような、心をぐっと引き込むようなパワーがある一文です。
この文章には、二人の愛情がさらに増すという意味が込められているでしょう。
「甘く」という言葉からも、愛情がさらに甘く深くなっていくことが想像できます。
またもう1つ考えられる意味があります。
桃は「桃の節句」があるように「女性」のイメージをわかせるもの。
桃を「彼女」と言い換えてみると、彼女の香りがさらに甘く感じるような描写になります。
とても彼女に惚れているという様子、そして愛情が深まっている様子が伝わってきます。
さらに「もっと香りがしてくる」という表現。
ここから彼女の存在が自分の中で大きくなっているということがわかるのではないでしょうか。
また「桃」の花言葉は「あなたに夢中」。
自分が彼女に夢中になっている気持ちが強くなっていることがわかります。
「桃」というワードに深い意味は込められていないかもしれません。
しかし「桃」だからこそ愛情の深さが伝わってくる箇所がこの曲にはあるのです。
本物の愛へ
歌詞の中では彼女が好きな桃を買っている自分の描写がありました。
本人はその行動を「最低」だと言っていましたが、実はそれも愛情なのかもしれません。
愛情を無意識に注いでいたことにすら気がつけなかった自分。
そんな自分が「本当の幸せ」に気がついたことがわかります。
そのことから自分が彼女と一緒にいる理由も知ることができたのでした。
そして彼女に対しての愛情が徐々に本物の愛へと変わっていく様子が表現されています。