サビの部分。

ここにきて色々な真相が明らかになっていきます。

お互いの距離が離れていき、溝が深まっていっているとは言いましたが本心はそうではないようです。

お互いのことを想い合い、抱きしめ合うふたり。

そのことに嘘偽りはないのでしょう。

しかしながら、決定的にふたりを分かつもの。

それがお互いを見ることができないという状況なのです。

物理的に、ということではなく精神的な比喩表現です。

灯台下暗し的な意味で捉えたらいいと思いますが、近すぎて見えないもの。

それは相手の想いだったり、自分の想いだったり、誰よりも近くにあるはずの「本音」の部分です。

お互いに相手に本音を聞けないだけでなく、自分の本音を伝えることすらできない。

そしてそれを行動に移すのではなく、想像して感じようとしているのです。

このやりとりがふたりの距離を遠ざける大きな原因となっていることがわかります。

ふたりが置かれている状況

言葉に出さない「君」の本音

君が何も言わないのは
結末を知っているからなの?
震える手に触れないのは

出典: KNOCK/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏 

ここまでの流れで、言葉を発しているのはどちらともなく、とお伝えしましたがそうではないようです。

この部分の歌詞から、言葉を発していたのは主人公だけだったことが伺えます。

想いがうまく口にできず、そのもどかしさに震えながら黙って抱きしめられる「君」。

それによって様々な憶測を巡らせる主人公、という構図が浮き彫りになりました。

張り詰めた緊張感を感じるシーンです。 

 

このふたりは、お互いに本音を明かすことなく求め合う切ない状況に置かれていることがわかりました。

そしてそれを打開すべく奮闘する主人公。

この状況が、お互いを好きなのに距離を縮められない大きな原因となっているのです。

弱さの正体とは

ふたりが抱える最大の問題点

弱い僕と弱い君が精一杯想ってるだけ

出典: KNOCK/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏 

この曲が伝えようとしているメッセージがわかるフレーズが上記の歌詞です。

お互いに好きで、想い合っているのに心が離れてしまう原因は「本音を伝えないこと」でした。

つまりは「弱さ」なのです。

本音を伝えることで関係が壊れるかもしれない、嫌われるかもしれないという恐怖。

この恐怖から本音を明かすことができず、お互いに推測で物事を推し測ろうとしていまっています。

 

うまく言葉にならない彼女と、真相を聞き出すことも本音を伝えて引っ張っていくこともできない主人公。

どちらに非があるというわけではなく、ふたりともが素直になれない状況がことをややこしくしています。

泣くことができないのも、相手の本音を伝えられないことに起因しているのでしょう。

感情をあらわにすることが怖いから泣きたくても涙を流せないのです。

 

素直になることが関係を改善する近道であることは理解していても、その一歩を踏み出せないふたり。

そんなもどかしい関係を、ふたりきりの部屋という閉ざされた空間で繰り広げられる行動で描かれています。

 

そして、タイトルの『KNOCK』に込められた意味。

それは、相手の心をノックし続けるふたりの行動を表しているのです。

 

back numberらしい、どこまでも切なくも強気に出られない精神描写溢れる『KNOCK』の世界観。

いかがだったでしょうか。

これでこの歌詞の考察を終わります。

まとめ

back numberの描き出す男女の微妙な精神描写は、デビューした今でも健在です。

そんな彼らの原点ともいえるこのアルバム『逃した魚』は、時が経った今も色褪せることはありません。

むしろ、雑味のないback numberらしさが逆に新鮮に思えるほど。

こういう過去があって、今のback numberがある、という歴史を感じる1枚なのです。

こんな曲たちをインディーズ時代から生み出していたback numberのポテンシャルの高さに感服です!

【ご紹介】デビューアルバムに収められたポップソング

スローテンポの物悲しい切ない系のイメージが強いback number。

しかしミディアムテンポで心地よいロックも実に素晴らしく、back numberの魅力のひとつです。

今回ご紹介したインディーズデビューアルバム『逃した魚』に収録された『海岸通り』もそんな1曲。

少し小走りで軽快に歩くくらいのテンポ感が心地よく、何度も聴きたくなります。

そんな『海岸通り』について解説した記事があるのでご紹介!

下記のリンクからご一読ください!

back numberを好きな人達の声の中には 「こんな風に想われていたらいいな」「女ごころを解っている」という意見を聞きます。 そんなback numberの原点に戻り、インディーズ時代にリリースしたミニアルバム『残した魚』に収録されている 『海岸通り』の歌詞に注目してみました。

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