雨の中でたたずんでいる2人の姿が目に浮かびます。
「パラパラ」という表現から、雨はそれほど本降りではないことがうかがえますね。
そんな雨の中、2人は揺れています。
揺れているのは身体ではなく、2人の心でしょう。
雨も揺れ動く心も、今の「僕達には 無関係」だといいます。
これは2人がまだそれほど近しい間柄ではないことを指しているのでしょう。
しかし「僕」は、「キミ」のことが気になっているようです。
出会ってしまったから、世界は「ヒカリ」が咲いたように輝きだした。
1人だったときには見えてこなかった景色が、2人で一緒にいるときには見えるようになったのです。
こんな嘘ならアリじゃない?
嘘みたいなウソで キミに出会ってしまった
魔法にかかるように キミに染まってゆく
嘘みたいなウソで キミに恋してしまった
もっともっとモテあそんで このオオカミハート
出典: オオカミハート/作詞:ぽん 作曲:小島英也
「キミ」との出会いは「嘘みたいなウソ」だといいます。
「嘘」のつもりで言った「ウソ」。
それは「オオカミ少女と黒王子」のエリカが恭也に言ったことを連想させます。
「嘘の彼氏になってほしい」という「ウソ」。
そこに好きという気持ちはありませんでした。
しかし恭也と付き合っているうちに、エリカはだんだんと恭也のことが好きになっていきます。
まるで「魔法にかかるように」惹かれていったのです。
「嘘」はいつしか本物の「恋」に変わりました。
「もっとモテあそんで」という表現から、「キミ」のことが本当に好きなのだという気持ちが伝わってきます。
頭の中は「キミ」でいっぱい
キラキラ 風 熱まとって
ざらりと湧く不安 煽るの
恋は駆け引きだって 誰かが言ってたっけ
360°キミ、きみ、君
出典: オオカミハート/作詞:ぽん 作曲:小島英也
2番の歌詞では、「キミ」のことばかり考えている乙女心がうかがえます。
恋をしているときには、ちょっとしたことが不安につながることも。
しかしその不安も「キミ」のことが好きだからこそ。
「キミ、きみ、君」という、さまざまな表記で出てくる「キミ」にも注目。
3回もくり返していることや、表記が統一されていないことから、「僕」が戸惑っていることがわかります。
見るものや感じるもの、全てが「キミ」と結びついてドキドキしている気持ちが伝わってきますね。
いつまでも魔法にかかっていたい
嘘みたいなウソで キミに出会ってしまった
魔法よ解けないで 切なさ溶かしてよ
嘘みたいなウソで キミに恋してしまった
夢中にさせないで このオオカミハート
出典: オオカミハート/作詞:ぽん 作曲:小島英也
基本的には1番のサビと共通する歌詞ですが、いくつか違う箇所が。
「魔法よ解けないで」という表現に、「キミ」との恋が終わらないでほしいという乙女心が表れています。
もともとは「嘘」から始まった恋。だからこそ、いつ終わってしまうかもわかりません。
前のパートで感じていた「不安」は、いつ終わるとも知れない恋に対するものかもしれませんね。
「キミ」と過ごしていくうちに、どんどんと「キミ」に夢中になっていく。
「嘘」なのだとわかっていても、この胸の高鳴りは止まらない。
この関係が終わらないでほしい、と思いつつもそれを口には出せない。
そんな揺れ動く恋心が、歌詞からも伝わってきます。
「~しないで」という表現は、どこか弱気なようにも感じるのではないでしょうか。
タイトル「オオカミハート」ってどういう意味?
「オオカミハート」の歌詞には、恋に弱気な乙女心が描かれていました。
なぜタイトルを「オオカミハート」にしたのか、歌詞をふまえて考えてみましょう。
「オオカミ少女」の由来
タイトルの意味を考えるうえでもう一度思い出したいのが、「オオカミ少女と黒王子」。
主人公のエリカは見栄を張るために嘘をついてしまう「オオカミ少女」でした。
このネーミングには由来があるのではないかと思います。
それは、イソップ童話に登場する「オオカミ少年」。
「オオカミが来たぞー!」という少年のセリフは誰もが知っているのではないでしょうか。
「オオカミと羊飼い」という童話の中で、羊飼いの少年は暇つぶしに「オオカミが来たぞー!」と嘘をつきます。
羊飼いにとってオオカミは天敵。羊が食べられてしまうからです。
羊飼いの大人たちは大慌てですが、それが嘘だったと知ります。
大人たちは何度も同じ嘘をつく少年のことを信じなくなりました。
本当にオオカミが来たとき、少年の「オオカミが来たぞー!」という言葉を誰も信じなかったのです。
この童話をもとに、嘘つきの「オオカミ少女」というエリカのあだ名がついたのではないでしょうか。