ゆっくりと流れる平穏な日々から不穏に転じるまで
2人の今日は誰かにとっての昨日で
少しだけ鈍感になった気分
黒い海を白む夜が鮮やかな青に染める
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
「鈍感」を「のろま」と歌っています。
ビルでの出来事以来、2人に流れる時間は他の人よりも進むのが遅いように感じています。
青年は不自由を強いられる生活になってしまい、今までとは違う生活の流れに戸惑います。
少女は自分のせいで体を犠牲にした青年を支えます。
お互い悲しみや苦しみを抱えながらも寄り添いながら、焦らずゆっくり過ごしていきます。
しかし、心に抱えるものが大きいが故に、2人とも世間のペースについていけず、前に進もうとしていても進めない拘束感がのろまな気分にしているのかもしれません。
潮水が傷口に触れること無く
感傷が水に溶けてく
毎日の不平や不満を
お前も此処に置いていけよ
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
傷口に潮水が当たって痛む、という強い苦しみはなく、ただぼんやりと記憶が水に溶けていく。
海を眺めながら辛いことを思うと、広い海の中に波がその辛さを連れ去ってくれるような感覚になります。
何かを思い悩んでいることがあれば、波打ち際に置いていけばいい。海に溶けていずれ消えるんだから、と励ましているようです。
美しかったあの日々さえも
流るる時が記憶にしてしまったの
そうやってまた風化していくんだと思うともう
苦しくなった
あの日のようにこの景色さえ傷付ける気がしたから
教えて何故こんなに
生きるとは悲しいのか
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
楽しく美しかった日々は、記憶となって、思い出になって、徐々に薄れていくものです。
どんなに幸せなことも心の中では風化し、いつか忘れてしまう。
手放したくない美しい日々を風化させるというのは、幸せな記憶を無意識に追い出してしまっているように感じます。
そして風化した記憶はいつしか美しさから悲しみにすり替わってしまうのです。
苦しみを背負う前の楽しかった生活は、一体どこへ?
生きる歓びを思い出せず、苦しみ始めます。
she
お前はこの世で1番愛おしい
今の僕にとっては
sea
お前はこの世で1番美しい
今の彼女にとっては
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
自分にとって1番愛おしい存在は、「she=彼女」。
彼女にとって愛おしい存在は「sea=海」。
同じ読み方の「シー」に様々な意図を詰め込んでいるところがIvyらしい歌詞ですね。
愛おしかった彼女を置いて海に消えた青年。
彼は海と一体化したのだと思えば、今彼女にとって1番愛おしいものは「海」なのでしょう。
もしくは、別の視点からこのフレーズを見ることもできるのではないかと思います。
海で彼氏を失った少女を別の誰かが想っており、海を見つめ思いを馳せる少女の愛を手に入れることが出来ない片思いを表しているように、第3者の存在を含めた解釈をすることもできるのではないかと思います。
「she see sea」。
たった3つの同じ音の単語から様々な想像ができますね。
君と居ると自分の未熟さだけが
際立って情けなくなる
生きてきた時間の差異を
埋めることはできるかな
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
生きてきた長さと経験の多さは人それぞれ。
様々な経験を積んできた人は、あらゆる状況でも冷静に淡々と前に進んでいるイメージがありますね。
未熟さ故に悩んだり、もがいたり。
その差があからさまに見える時、情けない気持ちになってしまうのは仕方ありません。
足りない部分をなんとか補おうとしても、どうすれば埋めることができるのかがわからないのも未熟さの1つなのでしょう。
美しかったあの人さえも
流るる時が記憶にしてしまったの
そうやってまた風化していくんだと思うともう
苦しくなった
あの日のように君のことさえ傷付ける気がしたから
教えて何故こんなに
生きるとは悲しいのか
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
she
お前はこの世で1番愛おしい
今の僕にとっては
sea
お前はこの世で1番美しい
今の彼女にとっては
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
美しかったあの日々さえも
流るる時が記憶にしてしまったの
そうやってまた風化していくんだと思うともう
苦しくなった
あの日のようにこの景色さえ傷付ける気がしたから
教えて何故こんなに
生きるとは悲しいのか
Oh, I see.
別にこれで良いんだね
出典: she see sea/作詞:福島由也 作曲:福島由也
最後の歌詞で「ああ、わかった(Oh, I see.)。別にこれで良いんだね」と何かに気が付いて納得しているフレーズがあります。
MVでは悲しい結末になっていますが、このフレーズからは全てを受け入れることが出来て、ようやく心の平穏が見つかったような安らかさを感じることが出来ます。
誰もが生きることの難しさに悩むでしょう。
悩んでも答えが出てくるとは限りません。
それでも懸命に理由を探して生きていくか、別の方法で自分自身に決着をつけるのか。
見つける結末は自分だけのもの。他人に何かを言われても、自分はこれでいいんだ、と心から思えればいいのです。
まとめ
生きることへの厳しさや混沌とした悩み、愛を失った後でもなお生きる理由。
3つの単語から紡がれた歌詞と、切ない映像が胸を打つMVが印象的な『she see sea』。
これからもたくさんの音楽を生み続けるIvy to Fraudulent Gameを代表する一曲になることでしょう。
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