この景色を見てもらいたい
「今 空 すごいよ」出先から届く
あの人の写真 真っ赤な夕暮れどき
タイムライン上には あちこちの町の
違う空模様 ピンク グレイ 群青
出典: タイムライン/作詞:原田郁子 作曲:ミト
先程の部分で表現されていたタイムラインは、「様々な人が居て、それぞれの時間軸がある」という意味合いでした。
しかしタイムラインと聞いてみなさんが一番に思い浮かべるものと言えば、恐らくSNS上のタイムラインではないでしょうか。
ここで描かれるのは、そっちの意味のタイムライン。
それぞれの場所で過ごしているけど、自分以外の人にもこの景色を見てもらいたい。
タイムライン上を彩る様々な写真たちは、そんな想いの表れだという風にここで表現されています。
他人の今に元気付けられることも
嬉しいタイミングに 救われたりしてる
陰影の濃淡 浮かんで消えた
歌がききたいの ささやかにゆれる
歌がききたいの それぞれのタイムライン
出典: タイムライン/作詞:原田郁子 作曲:ミト
タイムラインを眺めているのは、そうした離れた人たちの今を知ることが出来るからでしょう。
しばらく会っていない友達が元気にしていることを知って、嬉しくなったりすることってありませんか?
他人の生きている時間軸だとしても、そうやって自分の気持ちに影響してくることがあるんです。
それぞれの物語を垣間見れることを心地良く感じる主人公の気持ちがここにも描かれていますね。
かけがえのない時間を過ごしているのは自分だけではない
いつどこでなにが起きるか わからない世界の果て
パラレルに日々はつづく つづける を つづけてゆく
広がるこの空の下 わたしもここにいるんだって思った
出典: タイムライン/作詞:原田郁子 作曲:ミト
世界の果てで今何が起きているかなんて、普通は知る由もありません。
同じように自分に今起きていることは、他人からすれば知る由もないこと。
しかしこれは決して自分に起きていることが取るに足らないことだという意味ではありません。
自分が生きている今というのは、自分にとっては何よりかけがえのない時間ですよね。
それと同じように、この世界にはそれぞれに何よりかけがえのない時間が広がっているのです。
自分のこととなると、それがあたかも自分だけの特別なことのように感じてしまいます。
しかしそれは誰だって同じ。みんなもそれぞれ特別な時間を感じているのです。
そう考えるとこの世界にはかけがえのない時間が溢れているということになりますね。
主人公が幸せを感じていた理由もなんとなく伝わってくる気がします。
当たり前のようでいて、幸せに溢れている
家々 公団 町の灯がともり
鳥たちも 人も 家路へ向かいだす
あのひとつひとつに 日常があって
わたしの知らない 物語があって
どんな風に出逢い どんな風に別れ
どんな風に今を 見つめているんだろう
またねと手をふる 人びとの影に
葉桜そよいだ 紙吹雪のように
歌がきこえてる それぞれのタイムライン
出典: タイムライン/作詞:原田郁子 作曲:ミト
冒頭でも夕暮れ時の描写がありましたが、ここでもまたそれが登場しますね。
夕暮れ時というのは、それぞれが別れて家路に着く時間。
プライベートな時間が始まるタイミングと言ってもいいでしょう。
他人には決してその時間は見えなくても、それぞれにかけがえのない時間を過ごしている。
そう想いを馳せ、またその心地良さを感じる主人公が居るのでした。
みんな生きていて、みんな思い思いの日々を過ごしている。
当たり前のようでいて、それだけですごく幸せなことなのかもしれません。
暗に自分を大切にすることの重要性も歌っている?
今回はクラムボンの「タイムライン」を紹介しました。
歌詞の中に描かれていたのは、なんてことない平凡な日々を送っているように見えて、みんなそれぞれにかけがえのない日々を送っているということ。
それに気付けるということは、自分が今生きている時間というのがかけがえのない時間だということに気付いているからです。
自分が満たされていなければ、自分のこと以外なんて考えている余裕はありません。
自分が満たされているからこそ、他人がどんな人生を送っているのかにも目を向けることが出来るのです。
この曲はそれぞれの時間のかけがえのなさを歌っているようでいて、暗に自分を大切にすることの大切さも歌っているのではないでしょうか。
ゆらゆらと漂うような曲調にも、「何も特別なことはないけど…」といったニュアンスが込められていたのですね。