愛しているから臆病になる
Aimerの『AM02:00』は切ない響きを持った曲ですが、決して失恋について歌ったものではありません。
愛し合える人がいる。
その人に「また明日」と言ってもらうことができる。
それでも不安がなくならないのは、相手への愛が大きすぎるせいでしょうか?
愛という感情は時にひどく複雑で不安定なものです。
きっと理性でコントロールできるものではないのでしょう。
こんなにも愛し合っているのに、寂しさばかりが募っていく。
そんな自分の本当の気持ちを相手にぶつけることができたらどんなに良かったでしょう。
愛しているからこそ、自分の内面を知られるのが怖い。
臆病で繊細な心情が、1人ぼっちの夜を切なく彩ります。
ライブバージョンをチェック
歌詞を読み解く前に、『AM02:00』がどんな曲なのかライブバージョンでチェックしてみましょう。
Aimerの哀愁を帯びた歌声と、しっとりと聴かせる伴奏。
それらが歌詞の切なさをさらに色濃いものに変えています。
孤独に浸りたい時、この曲をかけてみてはどうでしょう?
凪いだ海のように、心がそっと静けさを取り戻すはずです。
悲しみの中で灯る小さな明かり。
それを心で感じさせてくれるライブでしたね。
人を愛するということ
ここからは触れれば壊れてしまいそうほど繊細な歌詞について徹底解説していきます。
恋人と愛し合っているはずなのに、常に不安で押しつぶされそう。
どうしてこんなことになってしまうのか。
人を愛するということは、思っていたよりもずっと奥深いものだったようです。
夜道を彷徨う
AM02:00の誘う風に
少し 遠く ここまで来た
嫌いな街灯りさえ
紅く 淡く にじんでいた
出典: AM02:00/作詞:aimerrhythm 作曲:宮川暢彦
この曲の主人公は真夜中に外を彷徨っているようですね。
どこかへ向かっているというよりは、行く当てもなく歩いているといった感じでしょう。
なぜ、主人公はわざわざ夜中に外をふらふらとしているのか。
それはきっと、1人ぼっちの部屋にいるのが耐えられなかったから。
1人でいると、恋人の「君」のことばかり考えてしまう。
そして君への想いが募るほど、主人公の胸は寂しさでいっぱいになっていきます。
どうしようもない寂しさから逃れたくて、主人公は部屋を飛び出したのでしょう。
午前2時に吹く風はまるで自分を誘っているようで、思っていたよりも遠くまで来てしまった。
主人公が街灯りを嫌うのは、その灯りの中に君がいないことを知っているからかもしれません。
しかし今はその街灯りだけが、主人公の行く先を照らす唯一の光です。
それは生命そのもののように赤く輝いて見えたことでしょう。
君の言葉が忘れられない
あの時 君が言った言葉は
まだ胸で そうrefrain
繰り返しては 眠れない夜を巡る
出典: AM02:00/作詞:aimerrhythm 作曲:宮川暢彦
君は主人公にいったい何を言ったのでしょう?
愛の言葉か、未来の約束か。はたまた、他愛もない世間話だったのか。
君がどんな気持ちでその言葉を言ったにしろ、それは主人公にとって忘れられない言葉になりました。
何度も胸の中で、君の言葉が繰り返される。
そのせいで、主人公はずっと眠れない夜を過ごしている様子です。
言葉というのは、時に魔法のように力を与えてくれるものですが、同時に呪いのように人を縛るものでもあります。
主人公がかけられたのは、魔法か呪いか。
どちらにせよ、主人公にとって君という存在が誰よりも大きいものであるということは、疑いようがありません。
どんな言葉も君が言った途端に、大きな意味が生まれる。
主人公の深すぎる君への想いに、圧倒されてしまう歌詞ですね。
好きなほど胸が苦しい
主人公がこんなにも不安で仕方ないのは、君のことを愛しすぎているから。
1人では抱えきれない愛情に、主人公は心の余裕をなくしているのでしょう。
想いが募るほど胸が苦しくなる。
気持ちをすべて相手にぶつけることができたら、少しは楽になれるのかもしれません。
しかしなかなかそれができないから、この曲の主人公も思い悩んでいるのでしょうね。