Aimer18thシングル「marie」
「ハプスブルク展」テーマソング
この楽曲は東京にある国立西洋美術館で開催されていた「ハプスブルク展」のテーマソングに起用されています。
ハプスブルク家とは中世から近代まで、ヨーロッパで絶大な権力を握っていた名門中の名門です。
その流れは13世紀に始まり、神聖ローマ帝国の皇帝位を世襲、帝国崩壊後はオーストリア帝国の皇帝となります。
その栄華は第一次世界大戦後のオーストリア帝国崩壊まで、実に600年続いていました。
多くの国家の王侯貴族との繋がりもあり、中世以降のヨーロッパ史では外すことのできない存在です。
「ハプスブルク展」では、ハプスブルク家のコレクションや肖像画が展示されました。
marie=マリー・アントワネット
ハプスブルク家には、多くの皇帝、王妃、女帝が存在します。
その中でも特に有名なのが、マリー・アントワネットでしょう。
「marie」はそのマリー・アントワネットをイメージして作られた楽曲です。
彼女は女帝マリア・テレジアの娘として生まれ、フランスのルイ16世と結婚します。
そしてフランス革命での処刑によって生涯を閉じたマリー・アントワネット。
その数奇な運命をたどる歌詞からは、彼女の生涯や悲しみを感じられます。
どんな生涯だったのか、歌詞にあわせて次から読み解いていきます。
運命に翻弄され続けた人生
決められた結婚
毎夜 深紅の宴 泡沫に抱かれて
14の時にすぐに 迷子のまま
出典: marie/作詞:aimerrhythm 作曲:横山裕章
マリー・アントワネットはマリア・テレジアの11女として生まれました。
マリア・テレジアは卓越した政治手腕を発揮し、女帝として君臨していた女性です。
外交においては自分の子供たちと各国の王族、貴族との結婚によって繋がりを強めていました。
マリー・アントワネットとルイ16世との結婚も、その中の1つです。
その時、彼女はまだ14歳でした。
何不自由なく暮らしていた生活は泡沫のように消え、慣れない土地での結婚生活が始まったのです。
何も分からないままでの結婚は、彼女にとって非常に困惑ばかりの日々だったのではないでしょうか。
自身がどう振る舞うべきなのか、迷子のように模索し続ける日々だったのではないかと読み取れます。
謂れのない中傷
覚えのない言葉と偽りの首飾りすら
壁の画の誰かの悲しみを語り出す
出典: marie/作詞:aimerrhythm 作曲:横山裕章
最初の行は、マリー・アントワネットが言ったとされる代表的な言葉と、無実の詐欺事件のことでしょう。
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉は、彼女の言葉として非常に有名です。
しかし実際には、彼女の言葉ではなく、別の公爵夫人の言葉だと現在では判明しています。
彼女を貶めたいという貴族の思惑によって、彼女の言葉として広まったようです。
さらに、彼女は「首飾り事件」と呼ばれる詐欺に加担しているという疑いをかけられました。
実際には彼女とは関係のない伯爵夫人が彼女の名前を出して枢機卿に取り入り、高額な首飾りを買わせたのです。
彼女はただ巻き込まれているだけですが、この詐欺に彼女も加担していたと世間から疑惑を向けられます。
自分が謂れのない罪で疑われたことに彼女は怒り、その怒りはやがて悲しみに変わったのではないでしょうか。
マリー・アントワネットはフランスのことを愛していました。
しかし、浪費家でわがままなイメージが作られてしまったことで、フランス国民から嫌われてしまったのです。
それはどれほどの悲しみだったのでしょうか。
壁に飾られた彼女の肖像画から、愛した人々から愛されなかった彼女の悲しみが感じられるでしょう。
革命による最期
全てをなくし、終わりを迎える
奪われることを恐れて
与えられることを忘れて
終わりを告げていく美しい日々
出典: marie/作詞:aimerrhythm 作曲:横山裕章