歌詞だけ見ると、朝が来るまで音楽に合わせて踊っていよう、という楽しい曲に思えます。
しかし、実はこの曲の裏には友人との悲しい別れがあったのです。
tofubeats自身もインタビューで答えていますが、この曲は「人に死んでほしくない」という思いを込めて作ったそうです。
tofubeatsにはimoutoid(イモウトイド)という友人がいました。
17歳でアルバムをリリースするなど、tofubeats曰く「自分より天才」と認める存在だったそうです。
同い年で同じ関西出身、刺激を与え合う音楽仲間でありライバルだったのかもしれません。
そんなimoutoidが2009年、わずか18歳で急死してしまいます。tofubeatsの喪失感はどれほどだったか、想像もつきません。
その後も別の友人の死や東日本大震災などがあり、彼の中に無常感が芽生えていったのだと言います。
「朝が来るまで終わる事のないダンスを」はそんな想いを映し出しているのだそうです。
夜というのが悲しみや苦しみを表すのだとしたら、朝は希望を表しているのだと思います。
いつか苦しみは終わります。忘れることはなくても、傷は癒えていきます。
別の言い方をするのなら、どんなに夜が長くても必ず朝はやって来ます。
同じように、どんな人にでも等しく「死」というものは訪れます。
この世に永遠がないのなら、せめてその時までは音楽に合わせて踊っていたい。
この曲にはそんな切実な願いが込められているのではないでしょうか。
『First Album』では、この曲の後に森高千里をフィーチャリングした「Don't Stop The Music」という曲が続きます。
「朝が来るまで終わる事のないダンスを」の後に「音楽を止めないで」が来るのです。
この2曲が続いていることに、tofubeatsの想いがさらに強く込められている気がします。
一部では誤解も
2010年ごろから、深夜に営業していたクラブが風営法違反で摘発されるという事件が相次ぎました。
風営法の詳細や何が違反だったのかなど、細かい話は長くなるので省略します。興味のある方は調べてみてください。
現在は2016年から改正風営法が施行されています。
当時、イベントオーガナイザーやDJ、一般の音楽ファンなどからはこうした摘発に対して反発の声が上がりました。
「好きな音楽に乗って踊っているだけなのに何が問題なんだ?」ということです。
「朝が来るまで終わる事のないダンスを」は、曲名や歌詞から、クラブ摘発に対する曲として受け止められたのです。
もちろん、上記のようにそうした意図はtofubeatsにはありませんでした。
しかし、音楽は聞く人によっていろいろな解釈ができるものです。
優れたポップスほど、その解釈の幅が広く、多くの人に広がっていくものだと思います。
tofubeatsの意図とは違う受け止められ方をしたのも、彼の曲がポップスとしての強度を持っていたことの証しではないでしょうか。
最後に
tofubeatsの「朝が来るまで終わる事のないダンスを」について書いてみました。
この曲の持つ意味について少しでも伝わればと思います。
tofubeatsの今後の活躍にも注目しましょう!
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