過去に溶け込まず、宙に浮かんでいた「特別な日々」。

より一層鮮やかな思い出として記憶しておきたいものです。

「今」をさらっていく波にさらわれないで欲しいと願っています。

しかし、波は「特別な日々」を過去にしようと虎視眈々と狙っていたのです。

波が立てた水飛沫がライフルのスコープを覗き込むようにして「特別な日々」をとらえます。

そして飛沫の中に閉じ込めて、波の中に戻って行く。特別だったものが「ただの過去」になってしまいます。

透明な境界線

出典: あおのらくがき/作詞:きみコ 作曲:きみコ

丸い水飛沫の中に閉じ込められた「特別な日々」の思い出。

海に戻った水飛沫はどうなるでしょうか。

丸い形はあっという間に失われ、海に溶け込み、ただの「水」になります。

しかしここでは、目に見えなくても境界線があるというようなニュアンスで歌われているのです。

特別な過去と通常の過去は混ざりあって見分けがつかないただの「過去」。

実は目に見えないだけで、両者には明確な境界が存在するのでしょう。

心と向き合って知った「あの時の景色」

スケッチブック一面に描き始めたストーリー
いつも通り思うままに好きな色だけ選んだら
歪な丸は優しくて歪んだ線は愛しくて
夜を越えて 時を越えて いつの日かまた

出典: あおのらくがき/作詞:きみコ 作曲:きみコ

1番では、スケッチブックに描いた空や海が、思い通りの色にならないと嘆いていました。

2番でも自分が感じるままの青さで、覚えている形で、描いていきます。

やはり、あの時に見た色や形を再現できるわけではありませんが、もう嘆きません。

なぜなら、思い出の中にある透明な境界線を感じ取る力を自覚したからです。

特別を「特別」として覚えておける。あの時に見た青を「青」として覚えておけると気づきました。

実際に目に映った景色とは違っても、自分の心が選んで「感じた」景色、心に「残した」景色

それこそが、心の底から「ヒトツだけ残しておきたい」と願った思い出そのものです。

下手くそな丸も、真っ直ぐに引けない線も、自分の目ではなく心が記憶している形なのでしょう。

ストーリーは二人で描いていく

消えた 消えた 消えた気がしただけさ
目を閉じればまぶたの裏側にあるよ
今でもココに いつもの景色の中に

出典: あおのらくがき/作詞:きみコ 作曲:きみコ

今が過去になり、幸せな思い出が消えてしまうことを恐れていました。

しかし、消えることはないのだと確信します。

心の目で見て、心が覚えて、心が描いた景色は絶対に消えません。

スケッチブック一面に描き続けたストーリー
空の青も海の青も時が経つほどキレイだな
いつでもそこで笑うから きみとずっと笑うから
空を越えて 海を越えて いつまでもほら続いてゆくよ

出典: あおのらくがき/作詞:きみコ 作曲:きみコ

過去が増えるたび、スケッチブックに思い出の色を描き込み続けています。

今が過去になることに怯えていた頃に描いた青。

「あのときの二人が、今の二人を作っている」「あのときの青が、今の青に変化した」

過去が美しく見えるのは、今が幸せだからです。

1番で「きみ」は青と青の間で笑っていましたが、ここでは「きみとずっと笑うから」と歌われます。

美しさを増していく空と海の中に自分もいて、一緒に笑っているのです。

これからもずっと「あおのらくがき」は続いていきます。

一人で描いていた青も、今はきっと二人で描いているのでしょう。

誰もが共感できるnano.RIPEの歌詞の世界

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