某番組の‶ラスボス“として君臨する般若
「光」と「影」を描いた「あの頃じゃねえ」
今回ピックアップするアーティストは般若です。
2018年11月11日にキャリアを総括した「THE BEST ALBUM」をリリース。
そして2019年1月11日には武道館公演「おはよう武道館」を成功させています。
おそらく多くの方が「フリースタイルダンジョン」の変なラスボスとして認知しているかもしれません。
そんな方にこそ般若の音源を聴いていただきたいのです。
そこで今回取り上げたいのが2016年の楽曲「あの頃じゃねえ」。
10年以上に及ぶ自身のキャリアを俯瞰し、光と影を描いたとてもシリアスな楽曲です。
般若の魅力は音源にある!
般若のフリースタイラーとしての実力は確かに有名です。
B-BOY PARK、UMBなどで行われた数々の名勝負は今も伝説として語り継がれています。
しかしそこで見せるのはあくまで般若の表の顔。
10枚のオリジナルアルバム+数々の客演。
そして妄想族及び数多のグループで残してきた数えきれない音源にこそ般若の真の魅力が詰まっています。
現在はソロ以外にもSHINGO★西成&ZORNと共に自身の主催する昭和レコード名義でも活動する般若。
今回紹介する「あの頃じゃねえ」の歌詞を紐解くことで般若の魅力の数パーセントでも知っていただければと思います。
「あの頃じゃねえ」に惹かれる理由
キャリアを総括していく壮大なMV
まずは「あの頃じゃねえ」のMVをご覧いただきましょう。
このMVには般若がヒップホップと出会った頃から2016年までの軌跡が描かれています。
フードを被り自信なさ気に街を歩く男性は若き日の般若を投影した姿です。
十数年に及ぶキャリアを約7分間で総括した「あの頃じゃねえ」のMV。
意味深な場面の連続に早くも心が震えます。
挫折を乗り越え夢を掴むまでを描いた作品
ふてくされるように歩く若き日の般若。
最初に目にするのはコンビニ前で撮影をするB-BOYです。
その他随所にカットインされる撮影風景。
これらは全て般若のキャリアを総括したものです。
撮影シーンは「根こそぎ」、「内部告発」、「グランドスラム」と続いていきます。
カメラを通して私たちが見る光景は自身の過去を俯瞰する般若の視点です。
歌詞とシンクロするように登場する豪華ゲストにも注目したいと思います。
家庭環境のため幼少期より様々な挫折を経験してきた般若。
「あの頃じゃねえ」は般若が過去を振り返りながらマイク1本で夢を掴んでゆく過程を描いた作品です。
その歌詞には般若が命を懸けて掴み取った夢の軌跡が描かれています。
数多の挫折を乗り越え強く生きる姿勢に私たちは夢を持つことの大切さを教わるのです。
MVの最後、原点に戻るように1stアルバム「おはよう日本」の姿を再現します。
伝えたいのは「自分を信じることの大切さ」
ここからは「あの頃じゃねえ」の歌詞を見ていきましょう。
飾らない言葉と独特の節回しが魅力の般若。
キャリアを重ねるごとにリリックは長くなっていきます。
「あの頃じゃねえ」のリリックを文字数換算するとなんと約1400文字の超大作です!
これは通常の日本語ラップの楽曲と比較すると数倍の情報量になります。
それほどに般若の心の中は伝えたい言葉で溢れているのでしょう。
そのため今回の記事はやや長文になります。
「あの頃じゃねえ」のテーマは「自分を信じることの大切さ」です。
制作に際して挫折や他人への嫉妬心など見たくない過去と向き合う必要がありました。
そして弱い自身の心と向き合った末に出てきたのは「今への感謝」の気持ち...。