どうすればいいんだっけ? この世は謎だらけ
真実を庇って笑って 過ぎ去っていくのを待つだけ
歩くたびにつくのはキズ跡
怒りも光に変わるまで歯をくいしばるんだ
奴はああ見えてダーティー 俺はどう見てもキャンディー
隠し持ったサプライズ 口に出さぬプライド

白く 清く 潔く 黒く 強く 踊りたいなら

出典: SCAR/作詞:RYO-Z.ILMARI.PES and SU 作曲:PES

どうやら本作の主人公の持つ心の傷は、かなり深く深刻なようです。

心が動かないのであたり前のことでさえ、何をして良いのかわかりません。

目の前のことにも向き合うことができず、ただ苦痛な時が過ぎ行くのを願うのです。

主人公にとって生きている時間は苦痛以外の何者でもありません。

唯一彼の心が動く瞬間は怒りの感情を覚える時だけ。

裏の顔が彼を徐々に支配していき、本来の姿が飲み込まれようとしています。

しかし怒りという唯一の感情は、彼の生きている実感を味わえる最高のものでした。

裏の顔

嗚呼 傷が...傷が疼く 爪を這わす様
嗚呼 秘密が...秘密を包む 胸の奥の方
もう...もう...もう誰にも知られない様 様 様
そう...そう...そう誰しも気付けない業 業 業

出典: SCAR/作詞:RYO-Z.ILMARI.PES and SU 作曲:PES

怒りを覚える度に主人公の心は病んでいきます。

その感情に流され彼には制御不能になりかけているのです。

怒りに包まれた主人公の姿は、誰が見ても彼だと気づかないほどの豹変ぶり。

しかし彼はこれまでの人生の中で、初めて充実という言葉を知るのです。

RIP SLYME「SCAR」はこれまでの曲と1味違う

RIP SLYME「SCAR」の歌詞を読み解くと、これまでの彼らの曲と雰囲気が違います。

歌詞に含まれる闇のフレーズ。

非常に謎めいた主人公の気持ちを描写しています。

しかし誰しもこのような、闇の1面を持ちあわせている気がするのです。

ふつふつと湧き上がる怒りの感情を、何か他のことで発散しているのでしょう。

もしこのように発散できることがなかったとしたら。

考えると非常にゾッとしてしまいます。

それではRIP SLYME「SCAR」の終盤の歌詞を、引き続きお楽しみください。

もう1人の自分

本当にそうですか? 迷える魂にハレルヤ!!
深いキズを背負ったのは僕ですか?君ですか?
赤い炎浴びる 太陽へ目を細め つかみとる照明
やりきったはずなのに どっか満たされないようで
だけど正体不明の感情 この胸をよぎる刹那
転がり続けたどり着く そこでなら笑えるか

白く 清く 潔く 黒く 強く 踊りたいなら

出典: SCAR/作詞:RYO-Z.ILMARI.PES and SU 作曲:PES

何をしても満たされない主人公の心。

怒りという感情だけに依存していき、徐々に本来の姿を見失うようになります。

この感情は彼の日常に変化をもたらしてくれました。

充実するという実感を抱いたことのない、主人公にとってこの上ない喜びとなります。

つかみどころがない

どっから来てドコへ行く
毎晩闇夜に呟くセリフ
混沌とした路地裏を背にする
その男飄々につきVery cool
特にパッと見何でも無いような面は
ある時何とも言えないドラマ

出典: SCAR/作詞:RYO-Z.ILMARI.PES and SU 作曲:PES

夜の街を彷徨う主人公は、淡々と怒りの矛先を探し続けます。

ハンターのように探す姿は、ぱっと見本来の彼のようです。

しかしターゲットをロックオンした瞬間に、彼は悪の形相へと変化します。

隠し続けること

感じる瞳の奥に魅せる
くゆらす煙に消える
誰も知らない知られちゃいけない
どんだけ深い傷でも構わない
誇り高く貫いたイズムに散る
最後に笑うのは分からない

出典: SCAR/作詞:RYO-Z.ILMARI.PES and SU 作曲:PES

主人公の豹変した姿は、誰にも知られるわけにはいきません。

彼の生きがいが、なくなってしまうからです。

たとえ最後に笑えなかったとしても…。

終わりに

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