妖精帝國「DISORDER」
2016年4月27日にリリースされた18thシングル
クラシックやテクノを融合させていたメタル音楽から更に昇華してきた妖精帝國。
2015年に10年ぶりにリリースしたフルオリジナルアルバム「SHADOW CORPS[e]」では、バンドとして新たな境地となるゴシックメタルバンドとしての姿を披露しました。
色んなものを集めて積みあがった音楽が好きということで、どんどんと幅の広い重厚な楽曲が増えていますよね。常に成長し続けていることが感じられて、飽きさせないんです。
そして、このアルバムをリリースしたその翌年に発表されたこの楽曲も、ゴシックロックのハードな一曲になっています。
テクノのベースラインをギターで弾いたり、グルーヴ感も今までとは一味違う仕上がりになっています。
アニメのオープニングを担当していることもあり、妖精帝國の世界観ってちょっと・・。なんて思っている人にもお勧めできる名曲です。
実はこの曲アニメのために作られた楽曲の内の一つなのですが、最初からこの1曲でというのではなく、20曲以上ある候補曲の中から選ばれたんだそうです。
そして、漏れてしまった楽曲の一つのが、「紅き皇帝、白き世界」としてカップリングに収録されています。
「紅き皇帝、白き世界」は、紫煉が作曲したものであり、ストレートに響いてくる曲です。
高いストーリー性とラビリンス感が面白い「荊棘迷路」は、このシングルのために作られたそうですよ!
MV
今までの妖精帝國のMVと言えば、ゴシックな衣装に身を包み基本的には演奏中心でした。
しかし、今回の「DISORDER」は、初めてドラマ仕立てで作ったそうですよ!
MVのドラマパートでは一人のいじめられている女の子が主人公です。
学校では物静かで、友達のいない彼女にとって唯一の楽しみとなるのが、ゴシックを着た可愛い女の子を描くこと。
女の子の集団にその絵を描いているノートを取り上げられ乱雑に扱われた彼女には、復讐心が沸き上がります。
全ての嫌いな人間はいなくなってしまえばいいのに・・・。
そんな誰もが感じたことがある気持ちになっていることが十分に伝わりますね。
アニメ「ビッグオーダー」の主題歌
「ビッグオーダー」ってどんなアニメ?
「DISORDER」は、妖精帝國が主題歌やエンディングテーマを務めた「未来日記」の作者が出版している漫画と同名のアニメ「ビッグオーダー」のオープニング曲です。
アニメは特殊能力がポイントとなってくるバトルアニメで、何よりも主人公が背負っている過酷な運命は、妖精帝國の重厚な音楽と辛辣な歌詞にとても似合いますよね。
天草市の男子高校生・星宮エイジには、ある秘密があった。それは10年前、謎の少女・DAISYに世界支配を願ったことで最強の能力者(オーダー)となり、その力を暴走させて世界を滅亡寸前にまで追い込んでしまったのである。
かつて自分が「世界支配」を望んだのは世界を破壊するためではなく、平和にするためであったことを思い出したエイジは、決意を新たに再び「世界支配」を成功させて世界を革新させることを宣言する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC
星宮エイジの現在の能力である「世界支配」は自分が歩いた場所を領土として手に入れることが出来るんだそうです。
ただ、命令も言葉がすべて命令となるため不用意に言葉を発することが出来ないというデメリットがあったり、やはり能力者というのは一筋縄で平和へとはいかないのが面白いところですね。
「DISORDER」の歌詞の意味
ビッグオーダーをテーマにして作られた歌詞
the field of one-ten-thousandth "big order"
幾億もの理欲望の澱敷き詰めた
瓦礫と埃の街僕がいない
昔日の罪か現実の禊(みそぎ)か
叡智と無知が鬩(せめ)ぎ記憶の欠片が疼く
淡き命幼き夢
成り代われ支配者よ
絶望を劈(つんざ)け big order
裏切りだけが胸を抉る
滅亡を覆せ big order
世界を繋ぎ合わせて
出典: DISORDER/作詞:YUI 作曲:橘尭葉
最初の英語は、アニメのタイトルが刻まれていますから、ということはこの曲が”ビッグオーダー”のことを歌っていることが分かりますね。
抽象的な言葉が多いので、真意に迫ることはかなり難しいのですが歌詞の意味を考えてみたいと思います。
ビッグオーダーの世界には2000人以上の能力者がいて、本当に様々な能力があるんですがやはり注目どころは星宮エイジですよね。
実は、世界を滅亡させたのは、もともとあった彼の能力ではなく、妹の瀬奈の能力だったのです。
力の暴走により世界を滅亡させかけた妹をかばい、能力と記憶を奪ったというわけです。
歌詞にある”記憶の欠片”とは、この能力で失われた本当の記憶を指しているのではないかと思います。
「世界平和」と言っても、ただみんなと仲良くするというだけでは行えませんよね。「ビッグオーダー」でも、”共存”ではなく”支配”でコントロールしようとしているのです。
隣の芝生は青く見えたりするのと同じで、領土や土地だけでなく、人より良いものを手に入れたいという欲望は争いを生んでしまいます。
今もなお続く戦争を終わらせるために必要なことは、すべてを支配するような一つの世界を作ることです。世界を独立国家にすることなのかもしれません。
力を暴走させて滅亡へと追い込んだ力で、世界の平和のために支配者になれ!
そんな風に背中を押すような歌詞となっています。