とある国家の音楽ユニット
「妖精帝國」というバンドの成り立ち
現代の人間が妖精の存在を信じなくなってしまったせいで、廃退に向かうしかなかった国家・妖精帝國。
その皇女である〈ゆい〉と、橘尭葉が「妖精帝國第参軍楽隊」という音楽ユニットを結成したことが、このバンドの始まりです。
「妖精帝國」というバンド名は便宜上の名称とのことで、ゴシックなメタルやロックを中心に、クラシックやテクノを融合させた楽曲や、メロディアスなハードコアなども奏でます。
ファンのことを〈臣民〉と呼び、ライヴは〈式典〉と表現し、メンバーの中でもそれぞれ階級があるとのこと。
この階級は、国家・妖精帝國への貢献度によって位が上下するのだそうです。
皇女による歌唱
バンド・妖精帝國のメジャーデビューは2006年ですが、「妖精帝國第参軍楽隊」を結成したのは1997年。
その後、インディーズで数枚のシングル曲を発表しています。
ヴォーカルのYUI(2007年以降の表記)は、国家・妖精帝國の〈終身独裁官〉であり、皇女でもあります。
皇女自らが歌を発することにより、人間に妖精の存在を知らしめようとしているのでしょう。
2009年にアニソン関連のイベントに多く出演したことで知名度が上がり、それに比例して人気も上がっていきました。
2013年からは新しいメンバーを迎え入れての活動となり、現在に至ります。
多くのゲームやアニメとのタイアップ
ややダークな世界観
YUIの衣装にゴシックなものが多いことや、CDのジャケットやPVなどにも妖艶な雰囲気があるせいか、ゲームやアニメ作品とのタイアップ楽曲を多く持つ妖精帝國。
これまでもさまざまな作品を音楽で彩ってきました。
YUIの愛らしくも切ない、しかし時に力強くもある歌唱力。
苦しみや生死観、儚い夢や希望の光を思い描いた作詞。
聴く者を惹きつけてやまない作曲・編曲に、躊躇いのない演奏技術。
これらがすべて相まって、「妖精帝國第参軍楽隊」は人間に妖精の存在を示しています。
妖精は、信じる人間がいなければ消えてしまうものだからなのです。
アニメ『未来日記』のオープニング曲に
妖精帝國の14枚目のシングル曲となる「空想メソロギヰ」は、2011年から放送されたアニメ『未来日記』の前期オープニングテーマ曲として使用されました。
まずは皇女YUIがクローズアップされた、オフィシャルのPVをご覧ください。
『未来日記』は、2006年から2011年まで連載された、えすのサカエ氏の漫画です。
単行本は本編が全12巻、外伝が全3巻と刊行されていて、累計発行部数は400万部を超える大人気作品。
内容を簡単に説明すると、地味で空想好きな主人公・天野雪輝が携帯電話につけていた日記に、ある時まだ自分が経験していない未来の出来事が書かれるようになります。
未来を知ることで調子に乗っていた雪輝でしたが、実は彼の他にもその「未来日記」を持っている人間がいることを知り、それが全部で12人であるとわかります。
その12人でいわゆる「バトルロワイアル」戦のようなものが行われ、次期の「時空王」を決めるサバイバルゲームに巻き込まれていくことになるのでした。
本作のヒロインである我妻由乃は、雪輝と同じクラスの美少女で、才色兼備の高嶺の花的な存在。
しかし実は、雪輝に心底惚れ込んでいるストーカーであり、雪輝以外のことに興味がなく、雪輝以外はどうなろうと構わないという、典型的な「ヤンデレ」キャラクターなのです。
彼女が雪輝のためにどう動くか、というのも、本作の見所のひとつと言えるでしょう。
12人の日記の所有者はそれぞれの日記に特殊な能力を持ち、頭脳戦や肉弾戦などを交えた、サスペンス要素の強いファンタジー作品となっています。
そんな壮大かつ人気の高い作品がアニメ化される際に、妖精帝國の楽曲が使用されるということは、それだけ期待も大きく、可能性も広がるということ。
では、アニメOP動画もご覧ください。
アニメとの見事な融合
世界観を広げる楽曲
妖精帝國の歌詞では、よくドイツ語が使用されます。
この「空想メソロギヰ」も例外ではなく、サビにはドイツ語が入っています。
英語やラテン語も歌詞に混じっていますが、そのあたりは語感重視ということでご容赦ください。
もともと妖精帝國も、ドイツ語表記で「Das Feenreich」とされています。
ちなみに「メソロギヰ」というのは正確には(多分)ない表記で、「Mythology(ミソロジー)」ではないかと思われます。
訳すと「神話」という意味になります。
つまり「空想の神話」なのですね。
それでは、歌詞の内容を見ていきましょう。