楽曲のキモとなる印象的なフレーズ
いつまでも 覚えてる
なにもかも変わっても
ひとつだけ ひとつだけ
ありふれたものだけど
見せてやる 輝きに満ちたそのひとつだけ
いつまでもいつまでも守っていく
出典: 時を刻む唄/作詞:麻枝准 作曲:麻枝准
2人が出会ったとき、渚が投げかけた言葉があります。
「何もかも、変わらずにはいられないです。」
「楽しいこととか、嬉しいこととか、全部。全部、変わらずにはいられないです。」
「それでも、この場所が好きでいられますか?」
この言葉に対応するかのような歌詞です。
そして、「ひとつだけ」という言葉が示しているものが気になりますね。
何もかも変わっても、ずっと好きであり続ける。
この選択は決して間違いじゃなかった。
一緒に過ごした時間は確かに幸せだった。
「渚の投げかけに答えなければ出会うこともなかったのでは?」
アニメの中で朋也はそんなことを考えていました。
しかし、最後には「出会えて良かった」と結論を出しています。
そんな「後悔はしていない」という想いの現れたフレーズではないでしょうか。
渚のいない日常を受け止められない
3人での生活を夢に見る
肌寒い日が続く もう春なのに
目覚まし時計より早く起きた朝
三人分の朝ご飯を作るきみが
そこに立っている
出典: 時を刻む唄/作詞:麻枝准 作曲:麻枝准
これは夢の中での出来事でしょうか。
渚が亡くなった後の朝食は、朋也と汐の2人分だけのはずですよね?
そして朝食を作ってくれる人もいないはずです。
おそらく、渚が生きていて家族の朝食を作っている光景を夢に見たのでしょう。
心から望んでいるものほど夢に出てきますよね。
実際目が覚めた時の虚しさは底知れないと思います。
昨日まで生きていたはずの渚がいない
きみだけがきみだけが
そばにいないよ
昨日まですぐそばで僕を見てたよ
出典: 時を刻む唄/作詞:麻枝准 作曲:麻枝准
一緒に生きていくと誓ったはずの「きみ」がいない。
つい昨日まで生きていたのに。
一人この世界に取り残された朋也の心情を綴った胸に刺さる歌詞です。
まだ現実を受け止めきれていないような印象ですね。
子供を授かり、家族3人で家庭を築いていく覚悟をしていたからこそ、辛いのでしょう。
大切な人との「今」の重要性を考えさせられる場面ですね。
2人で生きていくはずだった
きみだけをきみだけを
好きでいたよ
きみだけときみだけと
歌う唄だよ
僕たちの僕たちの
刻んだ時だよ
片方だけ続くなんて
僕はいやだよ
出典: 時を刻む唄/作詞:麻枝准 作曲:麻枝准
他の誰でもない「きみだけ」というフレーズをここでも繰り返します。
心に染みますね。
物語の中では渚と一緒にだんご大家族の歌を歌っていました。
なんだかそれも連想してしまう歌詞ですね。
そして、ここではこの曲のタイトルに含まれているワードがたくさん出てきます。
「きみだけと歌う唄」
「僕たちの刻んだ時」
どちらも主語が2人になっていますね。
どちらか一方ではなく、2人で時を過ごしてきたはず。
それなのに渚がいなくなって自分だけ生き続けている。
同じ砂時計で時を刻んでいたつもりが、別々の砂時計だったなんて。
そんなのは嫌だ。
おそらくこういったメッセージが込められたフレーズなのだと思います。
悲しみに浸りながらも歩き出す
いつまでも 覚えてる
この町が変わっても
どれだけの悲しみと出会うことになっても
見せてやる 本当は強かったときのこと
さあいくよ 歩き出す 坂の道を
出典: 時を刻む唄/作詞:麻枝准 作曲:麻枝准
そして、例の渚の投げかけに対応するフレーズが最後に囁かれます。
自分の選択した結果がどんなに辛い結果であったとしても、受け止める。
何もかも変わっても、渚への感情や思い出を忘れない。
今は弱虫な自分だけど、本来の強い自分を取り戻して歩いて行く。
まだ悲しみに浸ってはいますが、最後は前向きなフレーズで締めくくっていますね。