心にうずもれた優しさの星たちが
炎あげ呼び合う……
波間さすらう難破船のように
出典: 水の星へ愛をこめて/作詞:売野雅勇 作曲:SEDAKA NEIL
作品の根底にあるものは“戦争”です。
どんな人間でも、心の奥底には優しさを持ち合わせていると私は思っています。
そして炎をあげ呼び合っている星とは戦いの最中にいるモビルスーツなのではと考えていました。
ここを、歌詞の文字通り“星”として読んでみましょう。
私たち生命を誕生させ、育んでくれた母のような星たちです。
戦争によって炎をあげる大地。
私たちは優しさの象徴でもあるような星に対して何を返しているのでしょう。
私たちへの警鐘
現代では、星が自ら炎をあげていることも無視はできません。
大規模な自然災害、気候変動。
これらの原因は私たちにも責任があるということは勉強してきました。
便利で不自由ない生活の先にある、私たちの欲が重なり続けた成れの果てを想像できますか?
星たちは炎をあげるように、緊急事態のメッセージを私たちに発しているのではないでしょうか?
繰り返す悲劇
あなたは絶対に独りじゃない
もう泣かないで
いまあなたを探してる人がいるから
お前にあいたいよと
出典: 水の星へ愛をこめて/作詞:売野雅勇 作曲:SEDAKA NEIL
私たち人間は、ひとりであってもふたりであっても孤独を感じてしまう生き物。
しかし、どんなことがあってもあなたはひとりじゃない。
必ずあなたを必要としている人がいると心に寄り添ってくれるような言葉が綴られています。
孤独な少年、カミーユ
主人公のカミーユ・ビダン。
作品の当初では両親や仲間も存在し、悪さだってするいたって普通の少年でした。
しかし自分も参戦している戦争で両親を亡くしてしまいます。
しかもその両親は目の前で殺されてしまっているのです。
その後も彼の前で多くの人々が次々と死んでいきます。
戦場で恋におち愛を知った人、母や姉のような存在であった人。
大切な人たちも死んでいったのです。
そんな絶望的に孤独な彼を大切に想ってくれている人が存在していたのですけどね。
生命と人と愛
愛と孤独と
愛は多分誰かのためにそっと
捧げられた永遠(とお)い祈りなのね
人はひとりではいられない
淋しさの星座からこぼれた花片(はなびら)だからね
出典: 水の星へ愛をこめて/作詞:売野雅勇 作曲:SEDAKA NEIL
見つめあったり、抱き合ったり、時には口づけ…
愛することは、このような行為だけではありません。
相手の今の幸せを祈るだけでもありません。
その人を取り巻く環境の平和や未来の幸せを祈ることも愛の1つの形なのではないでしょうか。
私たちは愛を知ると、そんな感情が心にそっと芽生えます。
ここではそんな私たちを“花片”として例えています。
ひらひらと舞う1枚の花片も、元々は集合体として生まれてきたもの。
そして私たちは産声をあげる前もずっと母の体の中で育まれていたのですから。
生まれる前からひとりではなかったのです。
孤独を嫌うのも仕方がないことでしょう。