希望の歌
希望。
人が生きていく上で、心の糧となるもの。
2018年9月に引退した日本の歌姫、安室奈美恵という存在はファンにとってまさに希望そのものでした。
彼女の歌う、声に、歌詞に、姿に、どれだけの心が救われてきたのでしょう。
今回解説していくのは、2017年にリリースされた楽曲「Hope」。
“希望”と題したこの楽曲はデビューから引退までの26年という歳月の中で、安室がファンと築いてきた絆を表現しています。
アニメ「ONE PIECE」主題歌
「Hope」は、人気アニメ「ONE PIECE」の主題歌として書き下ろされました。
ONE PIECEは海賊をテーマにした作品で、週刊少年JUMPで連載されている漫画が原作です。
主人公であるルフィが海賊王を目指し、仲間と奮闘していく姿を描いたストーリー。
漫画もアニメも20年以上続いており、海外にも熱烈なファンが多く日本を代表するアニメの一つと言えます。
日本を代表する歌姫とアニメのコラボ、実は今回が初めてではありません。
「Fight Together」(2011)、「Black Make Up」(2015)で過去に二度コラボしています。
三度目となった「Hope」、その歌詞には節々にONE PIECEのエッセンスが散りばめられています。
そこにも注目して聴いてみると、「Hope」の新しい表情が見えてくるかもしれません。
胸の高鳴りを演じるアップテンポなビート
「Hope」はサビ始まりで構成されている曲です。
J-POPの構成は
・「Aメロ→Bメロ→サビ」と徐々に盛り上がっていくパターン
・「サビ→Aメロ→Bメロ→サビ」と最初から盛り上げていくパターン
のどちらかの進行が用いられることが多いです。
「Hope」はサビから始まることで最初から“グッ”と胸を掴まれます。
アップテンポなメロディは、ONE PIECEの世界観との相性もバッチリです!
「君」がいるから僕は頑張れる
君への想いが高鳴って
限りなきチカラ生まれる
求めるならば どこまでも
変わらぬキズナ振りかざそう
We are hope
出典: Hope/作詞:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito 作曲:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito
君がいるから頑張れる。
自分一人では諦めそうなことも、誰かのおかげで頑張れるということが私たちにはあります。
それは主人公も同じ。
「君」という存在が主人公にとっての力であり、「君」が必要としてくれる限り主人公もそれに応えると歌っています。
宝物の日々
君と本気で心ぶつけ合った喜びも
笑い転げてナミダ乾かした切なさも
出典: Hope/作詞:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito 作曲:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito
主人公は二人の思い出の日々を振り返っています。
決して仲良しこよしだったのではなく、ときには辛いこともあったようです。
注目すべきはそれぞれの行の最後のフレーズ。
一般的に考えれば1行目の最後は「悲しみ」、2行目の最後は「嬉しさ」というフレーズが用いられることが通例です。
あえてその逆の言葉を使うことで、二人はぶつかる度に絆を深めていったのだということを演出しています。
繋ぎあわせて風の中
はためいているよ 高く 高く
出典: Hope/作詞:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito 作曲:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito
ONE PIECEに登場する海賊旗を連想させるフレーズです。
決して平坦ではなかった二人の日々。
一つ一つをとってみれば、ほんの些細な出来事だったのかもしれません。
それが積み重なり、いざ振り返ってみれば、それはとてつもなく大きな宝物になっていた。
主人公は宝物の日々をどこか誇り高く感じているように思えます。
なぜ諦めてしまった…?
Why 探すことを諦めたの
Why 独り闘い続けるの
ねえ どんな未来覚悟したの
夢はもう手にしたの
出典: Hope/作詞:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito 作曲:Kenichi Anraku・TomoLow・MioFRANKY・Ryo Ito